2024年シンガポール労働市場まとめ:主要なポイントを解説!
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。
今年もいよいよ残り1カ月を切りましたね。
先日、シンガポール人材省(MOM)が発表した2024年労働力に関する報告書の中で、シンガポールの労働市場は高齢化社会やグローバル経済の変化という課題に直面しながらも、強い回復力と包摂性を示したと総括しています。
今回は、MOMが発表した本報告書に基づき、注目すべき動向についてまとめました。
【目次】
1. 労働力の拡大と多様性の尊重
2. 名目所得の回復と成長
3. 低水準を維持する労働活用不足と失業率
4. 転職時の産業転換
5. シンガポール労働市場における課題
6. 課題解決のための政策
7. 今後の展望
8. 最後に
1. 労働力の拡大と多様性の尊重
まず、今年はシンガポールの労働力が拡大し、特に包摂性の面で大きな進展が見られたとしています。
障がい者雇用の向上
15歳から64歳までの障がい者の雇用率は2023年の32.7%から今年は33.6%に上昇しました。
この結果は、雇用主への支援強化やトレーニングプログラムの充実によるものです。
政府は、2030年までにこの数値を40%に引き上げる目標を掲げています。
シニア層の労働参加率増加
MOMは、当報告書で55歳以上の高齢者の労働力率は過去10年間で上昇しており、シンガポールのシニアの労働力参加率は他の主要都市と比べても高いとしています。
これは、シニアの雇用能力を向上させる取り組みが後押ししているとしました。
一方で、全体の労働参加率は68.2%に微減しました。
これは高齢者人口の増加が起因しているとしています。
2. 名目所得の回復と成長
本報告書では、今年は国民の名目所得が回復したことも明らかになりました。
名目所得の増加
就労者(正社員)の中央値となる名目所得月収が2023年の5,197シンガポールドルから5,500ドルに上昇し、5.8%の成長を記録しました。
実質所得の伸び
インフレが緩和したことで、実質所得も回復。
中央値で+3.4%、所得の低い層の20パーセンタイルにおいては+4.6%の成長となりました。
包摂的な成長
低所得者層の所得が中央値よりも速いペースで増加し、所得格差が縮小しました。
これには「プログレッシブ賃金モデル(PWM)」の導入が寄与しています。
3. 低水準を維持する労働活用不足と失業率
シンガポールは前年と比較して、引き続き労働活用不足と失業率の低さを維持していたことも分かりました。
失業率
専門職・管理職(PMET)は2.7%、非PMETは3.4%。
長期失業率もPMETで0.7%、非PMETで0.5%と低い水準です。
労働力の活用と失業者数
失業者数が2023年の9,100人から2024年には7,400人に減少し、雇用機会が改善されました。
4.転職時の産業転換
産業をまたぐ転職による所得の増加が多く見られました。
転職者の収入増加
これまで就業していた業界・産業を変更して転職した労働者の約60%が所得の増加を経験しました。
内訳としては、特に金融サービスや情報通信などの成長産業への転職が目立ちました。
雇用形態の変化
自営業者の割合が減少し、安定性や福利厚生を求めて給与制の職に移る人が増加しました。
5. シンガポール労働市場における課題
一方で、労働市場における課題も顕著になっています。
特にシンガポールでは人口動態の変化による影響に直面しています。
高齢者支援比率の低下
20~64歳の人口比率が、65歳以上の人口に対して過去10年で半減し、とうとう4未満にまで低下しました。
この比率は2030年までに2.7まで落ち込むと予測されています。
外国人労働者への依存
就労ビザ厳格化が行われている中でも、経済の持続可能性を維持するため、一部では外国人労働力や投資への依存が続いています。
6.課題解決のための政策
同レポートによると、政府はこれらの課題に対応するため、多岐にわたる政策を実施しています。
スキルアップと再教育
国が提供する「キャリア転換プログラム」や「中途採用者向けプログラム」では、最大90%の給与補助を提供し、より多くの国民へトレーニングやキャリアチェンジの機会を提供しています。
柔軟な働き方の推進
今月より本格的に施行される「FWA(Flexible Work Arrangements:柔軟な働き方に関する三者ガイドライン)」により、従業員のワークライフバランスを支援。
特に高齢の家族と同居する介護者や、その他特別な事情のある従業員への大きなメリットが期待されています。
公平な職場環境の実現
新たな「職場公平性法(Workplace Fairness Legislation)」が採用され、2025年に導入が予定されています。
これにより、さらに雇用慣行における差別防止を強化し、包摂的な採用を促進します。
7. 今後の展望
総括して今年2024年は国内における様々な課題に対応しながらも、シンガポール労働市場にとって好調な年だったと言えるでしょう。
その一方で、同国を取り巻く課題は依然として残っています。
例えばグローバル経済の不確実性。
地政学的リスクや情報通信など外向き産業の構造変化が懸念されています。
また、引き続き高齢化を台頭に人口動態の変化については対応が必要となります。
雇用政策や職場慣行の継続的な革新が、持続的な成長の鍵となるでしょう。
最後に
今回は、先日発表されたMOMの2024年の労働力レポートより、要点をお届けしました。
MOMは、同レポート内で、今後様々な課題やチャレンジングな環境になっても、シンガポール国民は政府が提供するプログラムを存分に活用し、スキルアップや変化への適応を進めることで、労働者と雇用主の双方が経済環境に対応できると強く述べています。
弊社としても、引き続き変化の激しいシンガポール人材市場の動向を追ってまいりたいと思います。
またブログやウェビナ―等でアップデートしてまいりますので、引き続きぜひ弊社のホームページをご確認いただければ幸いです。
また、採用に関しお困りごとがございましたら弊社のコンサルタントへお気軽にお問い合わせくださいませ。
今回の詳しい情報は、シンガポール人材省ウェブサイトの「2024年労働力レポート」をご覧ください。
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