シンガポール人の心のふるさと? ホーカー文化に迫る
こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
2024年、シンガポールでは実に3,000軒もの飲食店が閉店したとの報道があり、その理由の多くが家賃や食費、人件費などのコストの高騰によるものだと言われています。
一方で、昨年は3,000を上回る飲食店が開店しており、トータルで見れば島内の飲食店は増えているのですが、このコスト高の負担が重くのしかかるのは事業者だけでなく、消費者にも同様です。
共働き文化が色濃いシンガポールにあって、たいていの公共住宅HDBにあり、安価な食事が楽しめるホーカーセンターは毎日の生活に欠かせない存在です。
なるべく外食費を抑えたい、コストは意識しながらも栄養のあるものをとりたい、手短に美味しいものを食べたい、よりディープなシンガポールフードを堪能したい……
私たちがホーカーセンターを利用する理由は様々ですが、今回はホーカー文化や、お安く食事がとれる情報をお届けしてまいります。
【目次】
1. ユネスコ文化遺産にも認定されたホーカー文化
2. ホーカーにまつわる豆知識
3. 安さのその先へ!格安ごはんを探すなら
4. 最後に
1. ユネスコ文化遺産にも認定されたホーカー文化
「シンガポール名物は?」と問われて、マリーナ・ベイ・サンズにマーライオンと挙げる人もいれば、金融やデジタル分野での先進性を謳う人もいるかと思いますが、ホーカーセンターとそこに息づくコミュニティや歴史などを思い浮かべる人も少なからずいるはずです。
かく言う私もその一人。
エアコンの冷気が効いたおしゃれなレストランにいる時よりも、ホーカーセンターで汗をかきながら食事をしている時のほうが、「在星感」とでも言いますか、「シンガポールにいる」という実感に浸ります。
シンガポールの人々のホーカーセンターに対する思い入れは更に強く、ノスタルジーやコミュニティの結束感と併せて語られることが多いように思います。
ホーカーセンターの歴史を紐解くと、まさに国の前身から今日の都市国家に至るまでの歴史と、切っても切れない関係であることが分かります。
ホーカー(Hawker - 日本語で「行商」「露天商」を指す) のシンガポールでの歴史は、1800年代のイギリス統治時代にさかのぼります。
中国、インド、マレーシア、インドネシアなど様々な地域から人が集ったこの時代、少しの資本で始められる露天商は、移民にとって格好のビジネスでした。
それぞれの民族・地域の食文化の特色を出して一気に食文化が花開き、また牛や山羊を連れて歩きフレッシュ・ミルクをその場で絞る業者もいたそうで、当時は3セントもあれば2、3皿の食事が手に入ったそうです。
一方、参入障壁の低さからホーカーが爆発的に増え、統制がとれず都市計画に支障が出たり、衛生面への懸念も高まったりと、「厄介者」と見なされる時期もあったそう。
1965年の独立後にはライセンス制、整理された区画に移転させるなどの施策を徹底することで、今日のホーカーセンターの形に至っています。
2020年12月には、シンガポール初のユネスコ人類無形文化遺産としてホーカー文化が登録されています。
ホーカーセンターの多くが公共住宅HDBの1階部分に設置され、朝食から夕食までシンガポールに暮らす人々の胃袋を満たしています。
今日、環境庁(NEA)や自治体によって管理されているホーカーセンターは120。
2027年までに更に20を増やす計画です。
・参考URL - The History and Evolution of Singapore's Hawker Culture
2. ホーカーにまつわる豆知識
このようにシンガポールの人々の暮らしに寄り添ってきたホーカーセンター。
それらにまつわる豆知識をご紹介してまいります。
≪最も古いホーカーセンターは?≫
1922年にフィンレイソン・グリーン (Finlayson Green)に設置されたものがシンガポール最初のホーカーセンターでしたが、今はビルが建つ場所となっています。
現存する中ではChomp Chomp Food Centre、Block 51 Old Airport Road、Tiong Bahru Market、これらが現存する最も古いホーカーセンターとして、今も現役で人々に愛されています。
≪観光名所!ラオ・パ・サ≫
在住者なら誰もが知るラオ・パ・サ (Lau Pa Sat)は、立地の良さから観光客にも大人気で、夕方になるとオープンエアーで味わえるサテーも有名ですよね。
ラオ・パ・サの前身Telok Ayer Marketは1824年に営業開始した、シンガポール最古の魚市場。
時代のニーズに合わせて魚市場としての役目を終えた後、1972年に現在のようなホーカーセンターに生まれ変わりました。
赤い屋根の外観が特徴的ですが、実は東南アジアで最も古いビクトリア様式の建造物のひとつで、アジアで最初にプレハブ鋳鉄で建てられた建造物のひとつでもあるそうです。
≪衛生面も安心なホーカー文化≫
衛生面で不安が大きかったホーカーを、長年の努力によって安心安全を実現したシンガポール。
そこには明確な衛生基準があります。
検査官立ち合いのもと、上からA~Dのランク付けが各ストールに貼られるシステムが長年運用されていましたが、2023年からは新たなグレードシステムを適用。
上からゴールド、シルバー、ブロンズにランク付けされるようになっています。
またこれとは別に、施設全体の衛生基準を満たしているホーカーセンターには「SG CLEAN」というステッカーが貼られています。
≪初心者も安心!ローカルフード・ツアーも開催≫
シンガポールに来たばかりで何を食べるべきか分からない、作法・マナーが分からない!という方にはフードツアーに参加してみるのもおすすめです。
食事のとり方だけでなく、ホーカー文化の背景や歴史など、ローカル視点でのガイドが楽しめます。
下記2つはあくまでご参考までに。いずれも有料、英語での開催です。
・A Chef's Tour - Singapore Stories Singapore Food Tour
・Secret Foot Tours : Singapore
3. 安さのその先へ!格安ごはんを探すなら
何をするにもコストが高くつきがちなシンガポール生活において、ホーカーセンターは消費者のお財布に優しい場所です。
シンガポールの定番料理で言えば、海南チキンライスで5~8シンガポールドル(以降SGDと表記)、ビリヤニライス7~8 SGD、チャークイティオであれば4~5 SGDが相場と言えるでしょう。(※2025年3月現在)
しかし近年のコスト高騰に加え、GST(シンガポールの消費税)も年々上がっており、より経済的な選択肢をお探しの方もいらっしゃることと思います。
そんな方におすすめなのが、バジェット・ミール(Budget Meal) 検索ポータル「Budget Meal Go Where」です。
ここに登録されているのは、一食3.00〜3.50 SGD、または1.00〜1.15 SGDで飲み物を提供する、まさに「格安飯」のメニューを擁するお店のみ。
検索はシンプルそのもの。
今いる場所や、食べたい場所の地名もしくは郵便番号を入れることで、その場所から2km以内のお店を表示します。
この背景としては、2018年以降で開業したホーカー店には、メニューの中にある一定数以上のバジェット・ミールの選択肢を入れるよう政府が奨励している事情があります。
格安飯オプションを入れることで、テナント料が割り引きされる仕組みなのだとか。
節約志向の方には嬉しい機能ですので、ぜひ話題作りにでも覗いてみてください。
4. 最後に
ホーカーセンターは、シンガポール国民にとって胃袋を満たす以上の意味をもつ存在です。
公共住宅HDBに暮らす人々の徒歩圏内になるよう緻密に計算して置かれており、中心地のオフィス街でも頻繁に目にします。
朝のコピから、昼食休憩、帰宅後での家族の団らん、その全てのシーンでホーカーセンターが活躍します。
また住宅の近くにあることから、地域コミュニティのハブスポットとしても機能しており、まさに「食事をとる」以上の思い入れある場所です。
外国人である私にとっても、ホーカーセンターは便利な場所です。
家事放棄モードの私のお気に入りは、経済飯(Economic Rice)!
経済飯はたいていどこのホーカーセンターにもストールがありますし、何より野菜がたくさん摂れてコスパも良いので、個人的にはとてもおすすめです!
皆さん、それぞれお気に入りのホーカーセンターを見つけて、ディープなシンガポール生活を楽しんでいきましょう!
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