【心の知能指数EQ】 EQが高い人はどんな人? どうやって見極める? 採用面接での質問例

こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

知性を表すIQ(Intelligence Quotient)は一般的によく知られていますが、EQ(Emotional Intelligence Quotient)についても人事関係者やマネジメントポジションの方であればご存知の方も多いことと思います。

「感情知性(EI)」は、自身や他者の感情を知覚し、自分の感情をコントロールする能力を指す言葉です。

そしてそのEIを測る指数を、EQと呼びます。

このEQ、採用や人材育成の場面でも重要視されてきています。

今回のブログでは、EQの概要から、EQが高い人物をどのように見分けていくかについてお届けしてまいります。


【目次】
1.心の知能指数EQとは
2. EQが高い人の特徴
3.採用面接でのEQチェック質問例
4. 最後に


1. 心の知能指数EQとは


心の知能指数=EQは、概念としては歴史が古く、1920年代にはコロンビア大学の教授が、他人と付き合う能力を「社会的知性」と呼んだことに端を発します。

その後20世紀後半になって議論が活発化し、1995年に心理学博士ダニエル・ゴールマン著『EQ こころの知能指数』が世界500万部のベストセラーになったことで広く知られるようになりました。

「なぜ頭の良い人でも不合理と思える行動をとるのか」「学歴や頭の良さはビジネスや人生の成功を約束するのか」といった根源的な疑問に対して、ダニエル博士は本著で「人生や職業の成功とIQの間には相関関係はあるものの多くの例外があり、IQが関係するのはせいぜい20%止まりだろう」「むしろ人生に大きな差をつけるのは、IQより感情をコントロールする自制心や他者に共感し協調する能力である」と結論付けています。

よく知られたIQとの比較では、IQは生まれ持っての性質が強いのに対してEQは後天的に学び、開発可能であること。

職場で活かせる点として、IQは几帳面さや正確性、課題解決、分析能力、研究開発をするのに発揮され、EQはチームワーク、リーダーシップ、対人コミュニケーション、協調性、積極性、サービス志向を高めることに貢献します。

このようにIQ、EQにはそれぞれ異なる特性があり、どちらがより重要かという議論は的を射ず、あくまでそれらをバランス良く備えていることが重要と言えます。


2. EQが高い人の特徴

ではそのEQが高い人はどのような人か、人物像を明らかにしていきます。

ゴールマン博士は著書において、EQを構成するのは以下5つの能力であると提唱しています。

自己認識能力 Self-Awareness
自己制御能力 Self-Regulation
内的な動機づけ能力 Motivation
共感能力 Empathy
社会的能力 Social skill


●自己認識能力 Self-Awareness
 この能力を高く有する人物は、現実的な自己評価に基づいた自信があり、時には自分のことを笑いとばすユーモアを備えているということが言えます。

●自己制御能力 Self-Regulation
 自らの激しい感情や衝動を抑制する能力を持つ人物は、誠実で高潔、また変化に対する柔軟性や寛容性の持ち主です。 

●内的な動機づけ能力 Motivation
 目標達成や成果物に対する情熱や、他者にもその達成感を与えられる人物は、仕事への情熱だけでなく、改革にひるまない努力、また失敗の際にも楽観的な物の見方ができる人と言えます。

●共感能力 Empathy
 合理的な決定に際して関係者の心情に思いやりがもてる人は、他の優秀な人材を惹きつけることが得意で、多様な文化・背景への理解的態度を示す人物でもあります。

●社会的能力 Social skill
 他者との調和を保つ能力であるソーシャル・スキルの持ち主は、変化を察知し、話に説得力があり、広いネットワ―キング、チームを構築しリードするスキルを持ちあわせた人です。

これらを総括して、EQが高い人は楽観主義でありながら現実的な目線も持ち合わせ、その場に合った自身の感情の発露に長けている。また目標達成意欲を高いレベルで維持し、他者の感情に寄り添った行動が取れる人、ということが言えます。

これらすべてを一人の人物に当てはめようとすると聖人のように思えてきますが、こうした個別の能力に秀でた人物は、皆さんの周りにもきっといるのではないでしょうか。
 

逆に言えば、EQが低い人は、根拠のない自信があってプライドが高く、感情的になりがちで、他人のミスに非寛容な人と言えます。こういった人物を職場で抱えると、一気に周囲の心理的安全が低下するので要注意です。


3. 採用面接でのEQチェック質問例

EQは個人の人生にとっても、多様な従業員で構成する職場においても重要な能力です。

特に、マネジメントポジションにある管理職にこの能力は欠かせません。
 

従来の採用選考では経歴が最重要視されてきました。学歴やスキル、資格、職歴は、確かに採用選考において重要な要素ではあります。

だからと言ってEQの確認がおざなりにされていいものではありません。高いチームワークを発揮する職場を目指すのであれば尚のこと、経歴重視型の選考では不十分なのです。    

そこで、ゴールマン博士と共著も出す、ビジネスアドバイザーのアニー・マッキー氏は、この解決策として行動結果面接」を提唱しています。

行動結果面接は、相手のEQや、またその能力が仕事でどう発揮されるかについて知るのに有効です。
 

採用面接の場ではまず、面接官と候補者が対等に話せるリラックスした雰囲気を作り、2~3の簡単な質問をした後で、EQ質問を始めましょう。

ここに幾つかのEQ質問をサンプルとしてお出しします。

・職場で困難な状況を乗り越えなければならなかった時、それをどのように感じ、どのように行動を起こしたか、教えてください
・仕事でプレッシャーのかかる状況に、どう対応しますか?
・これまでで最大の功績は?
・成功したプロジェクトとそこでのあなたの役割について教えてください
これまでにした失敗を教えてください。あなたはそこで感じた痛みから、どのように学びを得ましたか?
・同僚や上司との意見の相違には、どう対処しますか?
・不満のある顧客や取引先に対応しなければならなかった状況について教えてください。彼らの懸念にどのように対処し、結果満足を得ましたか?
・複数のプロジェクトやタスクを同時に管理しなければならなかった時のことを教えてください。どのように整理整頓し、すべての締め切りを守りましたか?
・あなたがリーダーシップを発揮した時、あるいはチームや組織内で前向きな変化に影響を与えた時の例を挙げてください
・プロジェクトやイニシアチブを率先して取らなければならなかった時のことを教えてください。どのようにチームのモチベーションを高め、目標を設定し、成功を収めましたか?
・タイトな納期に間に合わせなければならなかった状況の例を挙げてください。期限に間に合わせるために、どのように時間を管理し、タスクに優先順位をつけましたか?

これらの質問例は回答を得て終わり、ではありません。候補者の回答に追加質問を重ねることでより深い知見が得られます。ストレスや困難が伴い、他者が関わる状況において、候補者はどのような考え方・感じ方をする人なのか、その手掛かりを掴むことが目的だからです。

フォーカスすべきは候補者の感情→考え→行動した、この一連のプロセスです。

候補者が自身の感情にどう対処し、他者に対する自分の影響力をどの程度自覚していたか、そして実際にどう行動し、どう振る舞ったかを話してもらうことで、EQの実証の一端が垣間見えるはずです。


4. 最後に

今回は、心の知能指数と呼ばれるEQについてと、それを採用選考の場でどう見分けるか、という点にフォーカスしてお届けしました。

実際、職場の採用や昇進、人材教育の現場においては、IQと同様にEQも重視される流れは年々高まってきています。

あるジョブ・プラットフォームが2019年に米国の採用担当者約2,600人を対象に行った調査によると、71%の雇用主が、従業員にはIQよりも感情的知性を重視していること、またそのうち34%が従業員の採用や昇進の際にEQを重視して決めていることを認めています。更にそのうちの約60%が、IQが高くてもEQが低い候補者は採用を見送ると回答しています。

このように、人事・採用・育成場面においては従来のIQ重視型採用よりも、EQとIQのバランスを重視する採用に移行している現状があります。

ただ、数値で可視化しやすいIQに比べると、EQは短時間で人物を見極めなくてはならない採用選考の場面においては判別が難しいのも事実。

せめて、より多角的に人物を浮き彫り出す上記のようなEQ質問を使うことによって、その一助となれば、嬉しく思います。

 

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