2025年シンガポールの経済・労働市場の動きまとめ

こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

今年2025年に入って早くも2ヶ月が過ぎました。

先日の2025年予算案発表も記憶に新しい中、今後もダイナミックなイベントが目白押しのシンガポール。

今までの動きと、今後2025年に予定されている国家イベントや経済の変化について、弊社の過去記事と併せておさらいしてまいります。


【目次】
1. 2025年シンガポールの経済・労働市場の動き8選
2. 最後に


1. 2025年シンガポールの経済・労働市場の動き8選


1) インフレ圧力下での、経済成長の減速

通産省の発表では、シンガポールの2025年の経済成長率予測は1〜3%と、2024年の3.5%成長からは減速するとの見通しです。

トランプ大統領の関税追加策によって再燃した米中貿易戦争などの外部要因に晒されることでサプライチェーンに混乱を来たし、輸入コストが上がる可能性があります。

また世界的な需要の減速に伴い、シンガポール企業は利幅の縮小や輸出機会の減少に直面する可能性があると言われています。

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企業への洞察▶ 国際的な貿易リスクを軽減するため、サプライチェーンの回復を促進し、多様化戦略を模索する必要が求められています

 

2) 2025年予算案 - スキルアップと生活費などの支援

ウォン首相が先の2月18日、2025年予算案を発表。

国民への経済支援強化、また見通しが不明瞭な環境下で国民にリスキリング・アップスキリングの重要性を再度唱え、支援策を追加発表しました。

この人材改革については、個人だけでなく企業にも理解と強化を求めています。

またコスト高に直面する国内企業への支援として法人税の還付や、更なるイノベーションの推進を支援するための投資も発表しています。

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企業への洞察▶ 個人だけでなく企業も政府プログラムを活用して労働力のスキルアップを図り、経済の変化に対応できる人材を確保すべき、とされています


 3) シンガポール独立60周年

シンガポールが独立した1965年8月9日。

今年はそこからちょうど60年にあたる特別な周年(ジュビリー)です。

8月に向かうにつれ祝祭ムードが高まっていき、全国的な祝賀行事も開催されます。

また、2月に行われたチンゲイ・パレード都市再開発庁のマスタープラン草案展などにもあるように、都市の再生と持続可能なイニシアチブを推進しながら、シンガポールのこれまでの歩みと今後の発展について国民に改めて考える機会を提供する年となることと思われます。


企業への洞察▶ 組織は、CSRやブランディングの取り組みを60周年イベントと連動させることで、国民の祝賀ムードや地域社会のつながりを強化できるでしょう

 

4) 近づく総選挙

2025年半ばに予定されている次期総選挙に向け、国民の政治的関心も高まっています。

新たな候補者が登場し、政党が雇用創出と経済の安定を強調する中、企業、税制、労働市場に影響を与える政策が議論の中心になりそうです。


企業への洞察▶ 企業は選挙動向を注視し、事業コストや市場力学に影響を与えそうな政策変更についてはチェックしておきましょう

 

5) 育児休暇政策の強化

国民のワークライフバランス拡大を求める声に応え、2025年4月に育児休暇制度 (Parental Leave)が拡充されます。

父親の育児休暇は現行の2週間から4週間に増加、さらに父母でシェアできる共有育児休暇は6週間に増加されます(2026年には更に増加予定)。

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企業への洞察▶ 雇用主は、働く親を支援する人事策を適応させることで、従業員満足度と定着率を高めることができます


6) プラットフォーム・ワーカー法によるギグ・エコノミーの変革

プラットフォーム・ワーカー法 (Platform Workers Act)が今年1月に施行したことにより、ギグワーカー*は、より大きな保護の恩恵を受けることになっています。

フリーランス労働者は団体交渉権、労働災害補償、CPF拠出金の増額を利用できるようになるものの、運用コストの上昇は消費者に転嫁される可能性もあります。

*ギグワーカーとは:インターネット上のプラットフォームを通して単発の仕事を請け負うスタイルで働く人


企業への洞察▶ ギグワーカーに労働力を依存している企業は、このセグメントの人材を引き付け、維持する戦略を検討しながら、コスト調整に備えるべきと提唱しています

 

7) 退職の充足に向けたCPF制度の見直し

シンガポールで年金の役割を果たす中央積立基金(CPF)。

この社会保障制度の大幅な変更により、この1月末から55~65歳の労働者の拠出率が引き上げられ、給与の上限が7,400シンガポールドルに引き上げられました。

これによって基本退職金額は従来の4倍にまで増加し、退職者の経済的保障が強化される仕組みとなっています。


企業への洞察▶ 競争力を維持するために、CPF拠出金引き上げの予算を組み、補足的な退職給付の提供を検討する企業も出てきています


8) 都市再開発マスタープラン案の発表

今後10~15年間の再開発の優先順位をまとめたマスタープラン案が、今年6月、都市再開発庁より発表される予定です。

今のところ、新たな居住エリア、ビジネス中心地であるCBD郊外の街の改善、遺産地区の再開発などが注目されています。
 

企業への洞察▶ 企業は、新たな都市部での事業拡大やコラボレーションの機会を見出すことで、これらの開発を活用・ビジネスに親和させることが可能です

 

2. 最後に

既に起きていること、また今後起きることという観点で2025年のシンガポールの出来事をまとめてまいりました。

シンガポールのビジネスと労働市場にとって、2025年も重要な年となりそうです。

政策や経済状況は常に変化していく中、そうした情報を常にいち早くキャッチし、適応していくことが肝要です。

企業や求職者がこのような変化に対応し、変革の中で持続的な成長とキャリアの成功を実現するために、弊社ブログが少しでもお役に立てば幸いです。

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