シンガポール、医療証明書の乱用防止へ規制強化を検討
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。
あっと言う間に5月も後半ですね。
新しい環境に入り新生活をスタートされたあとの疲れも出る今日この頃ですが、先日シンガポールでは「病気休暇」に関するニュースがありました。
シンガポール保健省(MOH)は、「今日は仕事に行きたくないが、有給も使いたくない。それなら医療証明書(MC)を得て病気休暇を使用しよう」という人が昨今あまりにも増えている懸念を示し、現在このMCの発行に関する規則を厳格化することについて医師からの意見を求めているそう。
先月4月22日に送付されたシンガポールの医師への通達の中で、MOHは医師の義務を再確認するとともに、医療サービス法を改正してMC発行の条件を厳しくする案について医師の意見を求めています。
今回は、本ニュースについて詳しくお伝えいたします。
【目次】
1.おさらい:そもそもMCと病気休暇とは
2.規制強化の背景
3.今後の対応
4.最後に
1. おさらい:そもそもMCと病気休暇とは
MCとは、Medical Certificateと呼ばれ、シンガポール労働省(MOM)が認定している病院の医師または歯科医師の診断書を指します。
本証明書が発行されると、従業員は最低1日~病状に応じて有給で休養することが可能となります。
シンガポールでは、この有給休暇を病気休暇「Paid Outpatient Sick Leave (病気休暇)」(いわゆるSick LeaveまたはMedical Leave)と呼び、労働法で定められています。
取得できる日数は14日間で、就業期間によって以下のとおり変化します。
4ヶ月目~:5日間
5ヶ月目~:8日間
6ヶ月目~:11日間
7ヶ月目以降:14日間
同企業に3ヶ月以上就労している場合、適用可能です。
雇用法では、休んだ日の前後48時間で会社への報告をするよう定めています。
病気休暇にはもう1種類、「Hospitalization Leave (入院休暇)」も存在します。
病院での治療が必要であると医師の診断があった場合、その期間において適用されます。
入院に限らず、在宅療養の場合も最長で60日間取得できます。
こちらも就業期間によって以下のとおり変化します。
4ヶ月目~:15日間
5ヶ月目~:30日間
6ヶ月目~:45日間
7ヶ月目以降~:60日間
2. 規制強化の背景
今回、問題となっているのはMCが「患者の容体をよく診察することなく、あまりにも多く発行されている」ということです。
MOHによると、患者の自己申告による受診理由のみに基づいてMCが発行されており、MCを必要とする基礎的な病状があるかどうかを判断するための適切な臨床評価や経過観察が行われていないケースが多いというのが今回の論点だそう。
特に昨今、オンライン診療が新たな受診スタイルとして忙しいビジネスパーソンを中心に定着しつつあるシンガポール。
「患者がただ仕事や学校に行きたくないがために証明が欲しいときに利用しているケース」が増えていることが懸念されています。
MOHはすでに今年に入って数件のクリニックを「適切な診察なくMCを発行した」とし、倫理違反で規制措置を取ったり、取り締まりを強化したりしています。
また、CNAによると、シンガポールでよく使用されている複数のオンライン診療アプリを利用してのMC発行までにかかった時間はなんと2分未満だったそう。
アプリ側は「MCは適切な臨床評価の後にのみ発行される」とする一方で、その評価は患者が報告した症状に大きく依存しているとのことでした。
このほか、同じ患者に対して、最新の容体の評価をするための診察や経過観察をることもなく、繰り返し発行されているという現状も明らかになっています。
MOHはこれを「仮病と医療休暇特権の乱用」と呼び、問題提起しています。
3. 今後の対応
今回、MOHは改めて「MCの発行が正当かを判断するための医師による適切な評価なしに、患者の要求のみに基づいて、特に新患へ遠隔診察でMCを発行すべきではない」と強調しています。
また、「登録医が発行するMCの承認は "専門家としての特権 "であり、これは社会からの高い評価と信頼を反映している」とし、MCの発行は臨床的判断であるとしながらも、適切な臨床評価と適切な医学的根拠が必須であることを改めて喚起しました。
今後、MOHは患者に対して発行されるすべてのMCに、発行した医師の名前と医療審議会登録(MCR)番号を記載することを義務付ける意向です。
4. 最後に
今回は、先日発表されたMCと病気休暇の規制強化に関するニュースについて詳しくお届けしました。
企業、従業員双方にとって、改めて「MC発行の上で有給で休む」ことがどういうことかという意識を高めつつ、体調管理に留意し健全な職場環境を全員で維持する大切さを考えさせられるきっかけとして、本トピックがご参考になれば幸いです。
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