シンガポール、デジタル国家施策「Smart Nation2.0」を発表

こんにちは。

リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。

2024年10月1日、シンガポール政府は「Smart Nation 2.0(スマート・ネーション2.0)」というデジタル社会に向けた新たなビジョンを発表しました。

これは、2014年に第一弾構想としてすでに進めている「Smart Nation1.0」の進化版です。

これまで政府は、「経済」「社会」「政府」「セキュリティ」の4つの主要分野でデジタル化の推進を行い、医療や教育、インフラなど幅広い分野で国民の生活の質を向上させています。

今回新たに発表されたSmart Nation 2.0では、「成長」「コミュニティ」「信頼」の3つの柱を軸に、新施策を導入しながらデジタル変革をさらに推進していく計画です。

今回は、政府がこの度発表した「Smart Nation2.0」について、詳しくご紹介しながら、私たちに与える影響について考えてみたいと思います。


【目次】
1. 経済成長を促進するAIとイノベーションの活用
2. デジタル社会で包摂的なコミュニティを築く
3. デジタル社会での信頼と安全の確保
4.最後に

【関連記事】
デジタル化社会の最先端をいくシンガポール、国家戦略「Smart Nation」とは
シンガポールのデジタル化推進「Smart Nation」について


1. 経済成長を促進するAIとイノベーションの活用

Smart Nation2.0で掲げられた1つ目の重要な柱は「成長」です。

これは、シンガポールの人々や企業がテクノロジーを最大限に活用し、成長と発展を遂げることを支援するものです。

特に、AI(人工知能)の進化をビジネスチャンスとして捉え、経済発展に繋げていきます。

主な取り組みとしては以下の通りです。


AI for Scienceプログラムへの1億2000万シンガポールドルの投資:

バイオ医療や材料科学といった分野でAIの活用を広げるため、政府は1億 2,000 万Sドル(約135 億円)を投じることが発表されました。

このプログラムを通じて先駆的な研究を促進し、シンガポールをAIの拠点としてさらに強化することを目的としているそうです。

なお、これは政府が先に発表していた「国家AI戦略 2.0(NAIS 2.0)」の一環でもあります。


中小企業(SME)のAI導入支援:

政府によると、現在、中小企業の95%がデジタル技術を導入しており、国内企業の95%が電子決済システム「ペイナウ」を利用しているそう。

一方で今後は、企業におけるさらなる生産性の向上や革新的なソリューション開発のため、中小企業がAIを活用できるよう支援を行うとしました。

政府は、企業がAIをビジネスプロセスに組み込むためのサポートを提供し、競争力と持続可能性を高める方針です。


次世代の育成:

来年2025年には、子どもたちへデジタル動向を共有しながら、AIを楽しく学べる「AI for Fun」という教育モジュールを小中学校に導入するそう。

これにより、子どもたちがAI技術を実際に体験し、デジタル社会で活躍できるスキルを身に付けることが期待されています。

また、教育者や教育スペシャリストに対しては、情報通信メディア開発庁と教育省が「Smart Nation Educator Fellowship(スマート・ネイション・エデュケーター・フェローシップ)」イニシアチブを導入することも分かりました。


今後このようなAI技術の本格導入や人材育成への取り組みが、最新技術に精通した人材の育成、安定した供給に繋がるのではないでしょうか。

これにより、生産性の向上や競争力の強化が期待されています。


2. デジタル社会で包摂的なコミュニティを築く

Smart Nation2.0の2つ目の柱は「コミュニティ」です。

これは、技術を使って人々を繋げ、協力し合う社会を促進し、誰もが取り残されないようにすることを目指しています。

特に、技術革新の負の側面とも言える「孤立感」や「偽情報の拡散」などを防ぎ、すべての国民にとって安全なデジタル環境を整えるようにすることを目指します。


主な取り組みとしては以下の通りです。


サイバー・ウェルネス・プログラムの強化:

若者や高齢者が健全なデジタル習慣を身につけるよう、学校やコミュニティでサイバー・ウェルネスに関する教育プログラムが推進されます。


デジタル包摂のための取り組み:

シニアや職場の人々など、さまざまな層を対象に日常生活で役立つデジタルスキルを学ぶ講座が増設されます。

さらに、デジタルサービスに不慣れな人々のためには引き続き対人窓口サービスも提供されます。


ビジネスの面では、こうした取り組みによりデジタルリテラシーの高い消費者が増え、オンラインでの顧客対応やビジネスの成長が促進されることが期待されています。


3. デジタル社会での信頼と安全の確保

3つ目の柱である「信頼」は、今回のSmart Nation 2.0での基盤とも言えます。

技術の進歩によりサイバーリスクやデジタル障害が増加している中、政府は国民全員が信頼できる安全なデジタル環境を構築することを最優先に掲げています。

これは、デジタルプラットフォームを利用する企業や私たちにとっても重要なポイントです。

主な取り組みとしては以下の通りです。


デジタルインフラ法(Digital Infrastructure Act)の制定:

来年2025年中、クラウドサービスやデータセンターなど、シンガポールのデジタル基盤を強化し、リスク対応力を高める法律「デジタルインフラ法」が制定予定であることが発表されました。


オンライン被害に対応する新機関の設立:

政府は、ネットいじめや無断での画像拡散など、オンラインでの被害に対処するための新しい機関を設立することも発表しました。

新機関は今後、被害者を支援し、サービスプロバイダーや加害者に迅速な対応を求める方針です。


企業にとっては、信頼性の高いデジタルサービスの提供がサイバーリスクを減らし、顧客の信頼を高めることに繋がるのではないでしょうか。

また、リモートワークやデジタルプラットフォームが普及する中、従業員が安心してオンラインで働ける環境が整備されることも重要です。


4.最後に

今回は、政府が発表したデジタル社会推進のための新たなイニシアチブ「Smart Nation 2.0」について詳しくお届けしました。

政府の統計では、今やシンガポールでは99%の家庭がインターネットに接続されており、政府とのやりとりの99%がオンラインで行われているそう。

本施策により、今後シンガポールはデジタル経済において先を行く先駆者としての地位をますます強化し、当地でビジネスを行う企業がイノベーションを推進できる環境の整備をさらに行っていく考えです。


また、当地で生活をする人々にとっては、オンライン環境の安全の向上や、スキルアップの機会が多く提供されることで新たなデジタル時代に自信を持って対応できるようになります。

企業・働く人々・生活をする人々すべてに向けた包括的なアプローチによって、シンガポールで生活する人々がテクノロジーを活用して持続可能な成長を実現し協調し合う社会を築くことを目指しています。


今回の発表に際し、ローレンス・ウォン首相は「Smart Nation構想はこれまでの10年間で大きな進歩を遂げた」としながら、これからの10年間もさらに高みを目指せるだろうとコメントしています。

デジタル技術の普及や発展とともにその課題も浮き彫りになる現代社会において、今回のSmart Nation 2.0はシンガポールが課題に対応しながら、人々が便利かつ安全に生活ができる、デジタルに明るい未来に一歩近づいていると言えるのではないでしょうか。


AI能力の強化、学際的な研究の推進、安全で信頼できるデジタル環境の整備など、シンガポールはますます世界中から優秀な人材を引き寄せる魅力的な場所になりそうですね!

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