【総選挙2025目前】投票日までに知っておきたい、シンガポールの選挙について


こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

米国トランプ政権の関税政策によって揺れる世界経済。

これを見越してシンガポールでは来る5月3日、今後の国政を占う総選挙が行われます。

今回の総選挙を表す「GE2025(General Election)」というワードを当地のメディアでもよく目にする今日この頃ですが、選挙権を持たない私たち外国人にとっては、当地での選挙はヴェールに包まれた存在でもあります。

そこで今回は、シンガポールの選挙事情と、今回の2025年総選挙の注目点を解説してまいります。

※本ブログの情報は2025年4月25日時点のものです
■参考記事:Strait Times GE2025: All you need to know about Singapore’s general election


【目次】
1. 5年ぶりの総選挙がやってくる!
2. 総選挙2025の争点・ポイント
3. シンガポールの選挙にまつわる知識・トリビア
4. 最後に

 

1. 5年ぶりの総選挙がやってくる!

前回2020年7月のコロナ禍真っ只中での総選挙から早くも5年の歳月が経とうとする中、シンガポールの次期総選挙が2025年5月3日に実施されます。

今回の国会議席数は97議席。

33の選挙区 (小選挙区15、グループ選挙区18) から成ります。

前回は93議席、9の小選挙区、13のグループ選挙区でしたが、人口動態などを鑑みて選挙人境界線審査委員会 (EBRC) が先の3月に決定・発表しました。

これに伴い国会は3月15日に解散を宣言。

4月23日が公示日、来る5月3日土曜日が投開票日となります。
 

本来は総選挙の実施期限は今年11月までであり、当初は国民の愛国ムードが最高潮を迎える8月9日(ナショナルデー)付近に選挙を実施するものと見られていました。

ところがトランプ政権による関税政策を発端とする世界経済の混乱により、シンガポール政府も景気見通しを下方修正するなど対応に追われたことから、選挙時期を早めたと言われています。

ローレンス・ウォン首相も国会解散にあたって、自身のFacebookページで「私たちは今、大きな変化を目の当たりにしている。世界はより不確実で不安定になりつつある。過去数十年にわたるシンガポールの成功を可能にした世界情勢はもはや維持できないかもしれない。これが、私が今回の総選挙を呼びかけた理由です。この重大な局面で、シンガポール国民が国を率いるチームを決め、ともに進むべき道を描くべきだ」と語っています。


アメリカ関税発表時のローレンス・ウォン首相のスピーチ内容
 


2. 総選挙2025の見どころと、主要政党の紹介

国政を占うとは言いますが、今回の総選挙が具体的にどう作用し、どのような意味をもつものなのか、ポイントを見ていきましょう。


1) ローレンス・ウォン政権への成績表
今回の選挙は、2024年に首相となったローレンス・ウォン氏にとって就任後初の総選挙です。

今回の選挙結果は、彼の政治手腕、また彼を支えるリーダーたち(与党・人民行動党PAPの第四世代と呼ばれる人々)へのこれまでの舵取りに対する、国民の答えと言えるでしょう。

 

2) 企業・個人にとっての経済的・政策的影響
シンガポールは政情が安定した国として知られていますが、選挙の結果次第で政策の中身は変わってきます。

例えば、以下に関連する事項などは、政権の意向によって内容に変化が生じやすいものです。
・外国人人材政策 (EP・Sパス基準など)
・労働力支援制度
・中小企業への優遇措置
・年金(CPF)改革

特に就労ビザ政策は、私たち働く外国人やそういった人材を採用する企業にもダイレクトに影響してくるものなので、注目しておきたいものです。

 

3) 労働者の意識、キャリア戦略への影響
今回の総選挙、特に人事領域の人々にとっては、これら以下のことを検討する際のチェックポイントでもあります。

・業界が国家の雇用変革戦略と整合しているか
・スキル優先型の採用や、中途採用への移行支援
・フィンテック、ヘルスケア、ICTなどの成長分野における雇用の流動性
 

シンガポールは1965年の建国以来、ずっと人民行動党(PAP)の単独政権を維持してきています。

独裁的だと欧米諸国より批判を受けることもありましたが、野党が参政しながらも開発を優先する「シンガポール式民主主義」を貫いてきました。
 

シンガポールの主要な政党をおさらいしていきます。

人民行動党(PAP - People's Action Party) :シンガポールの発展を今日まで導いてきた与党。初代首相リー・クワン・ユーが率いて結成。現在は国会の議席の約9割を独占

労働者党(WP - Worker’s Party):野党第一党。議会選挙で支配的なPAPに対抗してきた、最大かつ最古の野党

シンガポール前進党(PSP - Singapore Progress Party):2019年に結成された比較的新しい政党ながら、PAP、WPと並ぶ国会を代表する3政党のひとつ

上記3政党に加えて今回は他に8政党、合計11政党が候補者を擁立しています。


3. シンガポールの選挙にまつわる知識・トリビア

ここでは、日本とは異なるシンガポールの選挙事情について抱きがちな疑問を解消、且つトリビアをご紹介してまいります。


・シンガポールで選挙権を持つ人は?PR保持者は?
→シンガポールでの有権者は「21歳以上のシンガポール国民のみ」です。PR保持者に選挙権はありません。現在の登録有権者数は約275万人で、前回2020年時の約265万人から約10万人が増加しています

・シンガポールでは投票は義務?
→はい、投票資格のある国民は全員投票しなければなりません。正当な理由なく投票しない人は、選挙人名簿から除外される可能性があります

・投票日は祝日になる?
→はい、今回2025年5月3日(土)投票日は、シンガポールの法律によって祝日として制定されています。そのため、当日が非就業日であっても企業は従業員に1日分の給与または代休を与える義務があります

・ 雇用主は投票のために休暇を与える必要は?
→投票当日、シンガポール人従業員に出勤する予定があったとしても、休暇を与えなければなりません

・投票のための休暇を認めない雇用主に対して罰則は?
→あります

・クーリングオフとは?
→投票日の前日(5月2日)はクーリングオフデーと呼ばれ、この日は一切の選挙運動が禁止されます

・投票時間は5月3日の何時から何時まで?
→投票当日、投票所は午前8時から午後8時まで開いています

・海外在住など投票が困難なシンガポール国民はどうする?
→国外からも投票できます。指定された投票所で投票するか、郵便投票の資格を得ての投票が可能です。また病気や出産などやむを得ない理由での無投票でも一旦資格ははく奪され、次回選挙までに投票資格を再度得るための手続きが必要です

・海外に投票所があるの?
→今回は以下の10都市で投票所の設置が予定されています。
北京、上海、東京、香港、ドバイ、ロンドン、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントン、キャンベラ
在外シンガポール人の人口や要望によって、数や設置場所は配慮されるそうです

・デジタル先進国家のシンガポール。デジタル投票はないの?
→今のところ実現していません。ネット投票の実現可能性は模索してきていますが、有権者の認証、なりすましの防止、機密性の確保などにおいて課題が多く、さらに、システムの信頼性、ハッキングやサイバー攻撃に対する脆弱性といったセキュリティ上のリスクもあります。そのため、今のところは日本と同様、紙を使っての投票が最も確実との結論を出しています

・日本ではよく選挙予想や投票所での出口調査が話題になる。シンガポールでは?
→シンガポールでは、投票終了前に選挙調査や出口調査の結果を公表することは禁じられています

 

4. 最後に

5月3日の決戦を控え、島内では各党の選挙活動が繰り広げられています。

シンガポール国民が多く居住するHDBが林立するエリアに行くと、その一端を感じることもあるかもしれません。
 

投票日が祝日に設定されることに伴い、5月最初の週末は一時的に景気が減速することも予想されていますが、当地の誇る高い雇用率、確たる労働政策などがそういった不安要素を軽減してくれるとの期待も寄せられています。
 

シンガポール総選挙2025は政治的な節目というだけではなく、人材戦略、雇用、経済発展のための重要なチェックポイントです。

弊社リーラコーエンも今回の選挙結果に注目し、企業・個人双方がそれぞれ適用していくために必要な情報を適宜お届けしてまいります。
 

また、日本でも2025年7月には参議院選挙が控えています。

在外選挙登録がまだの方は、ぜひ早めのご登録を!
 

【関連記事】

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