チョット待って、それSCAMかも!?シンガポールで増加する詐欺の手口
こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
近年、詐欺行為の手口の巧妙化・細分化に伴い、真偽の判断が難しくなっていると言われています。
オレオレ詐欺、キャッシュカード詐欺、ワンクリック詐欺、架空料金請求詐欺といった古くから耳にするものもあれば、昨今では国際ロマンス詐欺、詐欺アプリ、仮想通貨詐欺なども見聞きするようになり、主にインターネットを利用した犯罪が増加しています。
一方、これは私個人の感想ですが、シンガポールでは知らない電話番号からの着信が頻繁にあるように感じます。
シンガポール国外からの番号からかかってくることも多く、そういった電話には応答せず、番号をレポート&ブロックしています。
ただ、それも焼け石に水でそういった怪しい受電はなかなか減りません。
このように気を付けているつもりでも、私自身、典型的な手口に騙される一歩手前までいったことがあります。
シンガポールでも被害が多く報告されている詐欺(SCAM)について、今回はお届けしてまいります。
【目次】
1.年々増加する、シンガポールでの詐欺被害
2.シンガポールでのSCAMの手口TOP5
3.私自身のSCAM遭遇体験
4.最後に
1. 年々増加する、シンガポールでの詐欺被害
シンガポールにおける詐欺・サイバー犯罪の認知件数は年々増加傾向にあります。
2022年は33,669件だったのが、2023年は50,376件と、49.6%も増加しています。
手口・種類としては求人詐欺、eコマース詐欺、友人知人を騙る者からの詐欺、フィッシング詐欺、投資詐欺が最も多く認知されており、詐欺被害に遭った人の73%は50歳未満の若年層だそうです。
詐欺加害者からのコンタクト手段としては最も多い順からソーシャルメディア(Facebook, Instagram, TikTok)、メッセージプラットフォーム(Whatsapp, Telegram, WeChat)、ダイヤル通話、オンラインショッピングプラットフォーム(Carousell, Shopee)となっています。
インターネットに触れる機会の多い若年層での被害認知が多い所以かと思われます。
2.シンガポールでのSCAMの手口 TOP5
デジタル化が日本よりも進んだシンガポールでは、総じて国民もネットリテラシーが高いように見受けられますが、それでも騙されてしまう巧妙な仕掛けがあります。
シンガポールで最も多い5つの詐欺の手口をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
1) 求人詐欺
求職者の気持ちにつけこむ卑劣な求人詐欺。
認知件数としてはシンガポールで最も多い詐欺手法です。
たいていの場合、まずメッセージアプリやソーシャルメディアを通じて仕事の依頼が送られてきます。
「雇用主を騙る者」は、わずかな時間や単純労働といったコミットメントで高額報酬を提供することを騙ります。
事例としては、
・マーケティングの仕事で、手数料の見返りとして販売者の売上を伸ばすために商品の代金を前払いするよう求められる
・エージェントの仕事で、個人の銀行口座を使ってオンラインバンキングや送金サービスを通じての送金が求められる
・アシスタント購入者、トライアル参加者といった求人への応募者が、氏名、ID番号、電話のセキュリティコード、ワンタイムパスワードなどの個人情報の開示を求められ、そこで得た情報から応募者の携帯電話にアクセス、勝手にオンラインショッピングされる
といったものが報告されています。
★求人詐欺を見破るヒント
・労働の対価としての報酬が高すぎるものは要注意
・早い段階で送金を求められるようなアプロ―チは、まず詐欺を疑う
・人材エージェントから送金や銀行口座情報の開示が求められることはまずありません
※選考が進んで内定後・入社間際に、雇用主企業から給与の振り込み先として銀行口座情報を求められることが一般的です
なお弊社の名を騙った偽エージェントからの連絡が入った、というケースもございます。怪しい連絡を受けましたら、まず弊社の代表ページからその旨をお問い合わせください
2) eコマース詐欺
ネットショッピングの隆盛に伴い増加する、電子商取引での詐欺。
偽販売業者の多くは、人気のeコマースサイトで正規販売者を装ったり、偽の購入サイトを作ったり、信用を得るためにソーシャルメディアに広告を掲載するなどして消費者を油断させて接触することから始まり、商品代金を支払って初めて被害者は詐欺にあったことに気づく、といったケースが典型です。
例えばスマホなどのガジェットやコンサートのチケットなど、異様にお買い得な商品を販売し、購入希望者に代金を請求する。
場合によっては、最初の支払いが完了した後に関税や配送料など更なる支払いを要求することもあり、結局、商品が届くことはない…といった具合です。
また、購入した覚えのない商品や、購入したはずの商品とは異なる商品、あるいは安価なレプリカを送りつけることで現金で支払うよう要求するケースもこれに分類されます。
★eコマース詐欺を見破るヒント
・相場より格段に安いオファーや商品は怪しいと疑いましょう
・偽販売業者はeコマース外でのやりとりを希望しがち。やりとりはプラットフォーム上にとどめましょう
・銀行口座からのダイレクト送金や、複数回の送金を依頼してくる場合も詐欺を疑いましょう
3) フェイクフレンズ詐欺
友人や知人、または組織を騙った人物の連絡から始まるフェイクフレンズ詐欺。
昔ながらのオレオレ詐欺もこれに分類されます。
友人・知人だけでなく、政府関係者(政府職員、警察官、裁判所職員など)や銀行、通信会社の職員、中国の銀行や宅配業者を名乗る人物からダイヤル電話やWhatsAppがかかってくることで始まります。
詐欺師はいかにもらしい恐怖心を煽る話や、名演技などで電話の向こうの相手を騙してお金を引き出そうとしてきます。
★フェイクフレンズ詐欺を見破るヒント
・見知らぬ番号からの着信は、まず疑う! 特にシンガポール国番号(+65)以外の心当たりのない電話は詐欺と見ていいでしょう
・人物確認と内容確認を心がける。その相手は正しい人物か? 相手の話は本当か? 冷静に分析しましょう
・心当たりのないメッセージが送られてきたら、確認せずリンク先にはとばないこと
・ふだんと異なるメッセージや電話を受け取ったら、同様の詐欺ケースが存在するかどうかネットで検索する
4) フィッシング詐欺
例えば懸賞の応募、オンラインバンキング口座のセキュリティ、不正取引の調査などを目的として騙った、個人情報を求める電話やメール、テキストが届きます。
文面に記されたリンク先にアクセスすると、そこには企業や組織、銀行の公式サイトと同じように見える偽ウェブサイトが出てきます。
このような偽サイトに個人情報、暗証番号、ワンタイムパスワードを入力することで、個人情報や金銭が犯罪者に盗まれてしまう…といったフィッシング詐欺も多く報告されています。
★フィッシング詐欺を見破るヒント
・心当たりのない電話、メール、メッセージはまず疑う
・怪しいリンク先にはアクセスしない
・ウェブサイトURLやメールアドレスのドメインが公式と一致するかどうか確認する
・あなたの名前が宛先に書いてあるかどうか確認
5) 投資詐欺
シンガポールで最も被害総額が大きいのが投資詐欺です。
2023年は被害総額が約2億シンガポールドル(約230億円)にも上りました。
投資詐欺の典型的なものは、FacebookやWeChat、LINEなどのSNS・メッセージアプリに証券会社や銀行、金融機関の社員を名乗る人物からメッセージが届くことで始まります。
チャットに応じていると、投資フォーム入力のために必要だとしてNRICやパスポート番号など個人情報を共有するよう求めてきます。
そして利益やリターンなどを受け取るためにと香港や中国の銀行に送金し、それに伴う高額な手数料やセキュリティ手数料、税金を支払うよう要求してくるというものです。
また、香港金融管理局や香港海外管理センターを名乗る人物から電話がかかってきて、利益・リターンを受け取る前に保証金を要求されるケースもあるようです。
他にも、ネット上の友人から、ボラティリティが高く、シンガポールでは規制されていない暗号通貨への投資を頼まれるケースも報告されています。
★投資詐欺を見破るヒント
・リスクに見合わない高額リターンが言及されるものはまず怪しいと捉えましょう
・シンガポール国外から持ちかけられる投資話が多いようです。国外からの着信には特に注意
・シンガポールで投資を行う際は免許を持つファイナンシャル・アドバイザーに確認するか、シンガポール金融管理庁(MAS)ウェブサイトにある「金融機関名簿」「代表者登録」「投資家向け注意喚起リスト」を確認しましょう
3.私自身のSCAM遭遇体験
この記事を書いていて、自分自身も思い当たるSCAMが多いことに改めて驚きました。
私のプライベートの迷惑メールBOXには、口座開設をしたこともない銀行や持ったこともないクレジットカード会社からの「オンライン口座が凍結されました」「ご利用照会」といった内容のメールがよく届きますし、つい最近は夫の口座にFacebook上での取引という名目で約5万円の引き落としがありました。
たまたま別の用事で銀行窓口に出向いた時に発覚したためリファンド手続きをして事なきを得ましたが、他にもこういうことがあるのではと疑心暗鬼に陥りました。
現代を生きる誰しもにそのリスクのある詐欺被害ですが、私自身が特に見破るのが難しいと感じた体験を共有させてください。
・自宅インターネットで利用している通信会社Singtelからの突然のeメール。
月々の請求は郵送で送られてくるので不思議に感じたものの、その頃がちょうど引越しの時期であったことと、メールの宛先には私の夫の名前が書かれていたことも重なって真偽の判断がつかず、不動産エージェントに相談。早急にSingtel担当者に確認してくれたところ、私が受け取ったような通知をSingtelが送ることはない、と言われました
・これはマレーシアでの話ですが、子どもにせがまれてある商品をネット検索。
検索ページ上部にマレーシアの商品公式サイトを発見(アドレスの最後にマレーシアドメインが付いていた)。後日、その公式サイトを再び探したらサイト自体が見当たらず、またその商品はマレーシアではそもそも公式販売がないことを知った。偽の公式サイトは本家のようにデザイン性・クオリティの高いものだったので、その巧妙さに驚きました
このように、詐欺被害一歩手前、といった話はいつでも自分の身に降りかかる可能性があります。
改めて気を引き締める必要があると感じました。
4.最後に
テクノロジーの進化は喜ばしいことながら、その影で次々と新たな詐欺手口や巧妙さを増したものが出現してきています。
シンガポール政府・警察もこれらへの警戒感を強めてはいますが、まずは私たち個人が情報を得て、細心の注意を払うことが肝要です。
自分の財産は自分で大切に守っていきましょう!
シンガポールの詐欺被害に関する最新・詳細な情報は、以下のウェブサイトをご参考に。
・Singapore Police Force
・The National Crime Prevention Council (NCPC)
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