学歴よりスキル重視?シンガポールの企業が「学歴偏重」を見直し始めた理由とは
こんにちは。
リーラコーエンシンガポール マーケティング担当の野上です。
社会・経済状況、デジタル化、働く人々の意識など様々な要因により少しずつ変化をしている雇用市場。
シンガポールも例外ではありません。それに伴い、企業の採用の在り方も少しずつ進化しています。
先日、シンガポール人材開発省(MOM)がリリースをした最新の「Job Vacancy Report (求人調査)」によると、2024年の求人における約8割(78.8%)が、学歴を採用時に最も重要とする条件としていないことが分かりました。
これは、2023年の同調査での74.9%を4ポイントも上回る結果となっており、実務スキルや経験、そしてソフトスキルを重視する“スキルベース採用”へ加速していることを示しています。
今回は、同統計を振り返りながら、シンガポールの企業が今何を重視して人材を採用しているのか?そして企業がスキルベースの採用を自社にどう取り入れるべきなのか?の双方の視点から最新傾向についてご紹介してまいります。
【目次】
1.2024年「求人調査レポート」の主なポイント
2.企業がスキルベース採用を取り入れるには?
3.求職者には新たなチャンス
4.最後に
1.2024年「求人調査レポート」の主なポイント
今回、MOMが実施した統計おける主なポイントは以下の通りです。
・学歴を主要条件としない求人の割合:78.8%(前年比+約4ポイント)
・学歴要件に満たない応募者も受け入れる企業の割合:58.1%
・PMET(専門職・管理職・技術職)求人の割合:57.7%(前年比+0.5ポイント)
・6か月以上未充足の求人の割合:19.4%(前年比:マイナス4.1ポイント)
※出典:MOM「Job Vacancies 2024 Report」
学歴重視からスキル重視の採用へ
これまで2017年から2024年にかけて、「学歴が最重要ではない」求人の割合は増加の一途を辿っています。
特にPMET(専門職・管理職・技術職)ではこの傾向がより顕著であり、IT、金融、教育・研修分野を中心に、スキルや実務経験が重視されるケースが増えています。
企業が採用で重視しているのは、応募者が実際に業務を遂行できるかどうかという点です。
たとえば、「この候補者は実際にコードを書けるか」「営業成績を上げられるか」「信頼できるアドバイスができるか」「リーダーシップを発揮できるか」といった、実務能力や成果への期待が問われる傾向にあります。
さらに、業界での経験や応用可能なスキルの有無、そして環境の変化に柔軟に対応できる力、チームと協力して働ける姿勢、自ら行動を起こす主体性など、ソフトスキルも重要な評価基準となっています。
学歴よりスキルが重視されるPMET職とは
2024年において、次の5つの職種では、応募者のスキルや職務適性が学歴よりも重視される傾向が見られました。
・教育や研修を担う担当者
・ソフトウェア・ウェブ・マルチメディア開発者
・商業・マーケティング系の営業職
・金融・投資アドバイザー
・ネットワークやインフラの専門職など
これらの職種では、現場で即戦力となるスキルや経験、業務に対する理解や柔軟な対応力などが求められており、学歴よりも実力や実務経験が問われます。
その一方で、登録看護師、土木技師、公認会計士などの職種では、法的な要件や資格認証が必要となるため、引き続き学歴や資格が重視される傾向があります。
なぜ企業はスキルベースの採用に動いているのか?
スキルを重視した採用を取り入れている企業では、いくつかの明確なメリットが報告されています。
まず、採用プロセスが従来よりもスピーディーになり、より早く必要な人材を確保できるようになっていること。
また、入社後の社員のパフォーマンスが向上したという声も多く、実務に直結するスキルを持った人材の採用が成果につながっていることが分かります。
さらに、採用候補者の幅が広がり、多様なバックグラウンドを持つ人材を受け入れることで、組織のダイナミズムが高まっているというメリットもあります。
人材の獲得競争が激化する中、スキルベースの柔軟な採用方針は、企業にとって有効な手段となっていることが伺えます。
PMET人材への需要は今後も堅調
2024年の求人のうち、PMET職は57.7%でした。
この比率は過去10年で増加傾向にあります。特に需要が高い業界は以下の通りでした。
情報通信(ICT):15.0%
金融・保険:10.4%
専門サービス:10.2%
これらの求人の多くは、単なる人材補充ではなく、企業の成長やデジタル変革によって新たに生まれたポジションとなっています。
6か月以上未充足の求人の割合から見る、採用が難しい職種
長期未充足の求人は2023年の23.5%から、2024年には19.4%に改善しましたが、依然としてスキルギャップ(企業が必要とするスキルと人材の差)要因などから、先にご紹介したスキル重視のPMET職は採用が難しくなっています。
また、その他非PMET職で充足が困難な例としては、サービススタッフ(ウエイター等)や清掃スタッフ、小売販売スタッフなどが挙げられます。
これらの非PMET職では、肉体的な負担や賃金上昇の少なさが採用の壁となっていることが分かっています。
2.企業がスキルベース採用を取り入れるには?
それでは企業視点でスキル重視の採用へと移行するために、何を行っていけば良いのかを見ていきましょう。
まず、これまでと大きく採用方法を見直しする場合は、求人内容の再検討から始める必要があります。
学歴ではなく、職務に必要な成果やスキルに焦点を当てて、募集要項を再設計することが大切です。
また、採用担当者や人事部門のスキルを高め、応募者の能力やポテンシャルを正確に見極められる体制を整えることも必要となってくるでしょう。
さらに、シンガポール政府が国民・PRを対象に提供するWorkforce Singaporeのキャリア転換プログラムや、IHRPのHR認証制度といった外部の支援ツールを積極的に活用し、人材の門戸を広げることでスキルベース採用の導入を加速させることができます。
採用対象を中途採用者や異業種からの転職希望者、職業訓練を受けた人材などに広げることで、より多様な人材と出会える可能性が広がります。
加えて、育児や介護と両立する求職者にも対応できるよう、柔軟な働き方を導入することで、採用の裾野がさらに広がるでしょう。
3.求職者には新たなチャンス
今年2025年以降、現在新たなキャリアを模索している方にとっては、今最も大切なのは学歴よりも「何ができるか」で勝負をしていくことになります。
たとえば、プロジェクトベースやフリーランスでも、自身が希望する業界に関連する経験があれば強みになります。
また、デジタルスキルや営業、金融、プロジェクトマネジメントなどの分野における資格も評価されやすいポイントです。
さらに、コミュニケーション能力や論理的思考力、変化への適応力といったソフトスキルも重視されています。
そして、オンラインプラットフォームなどを通じて自主的に学び続けている姿勢も、前向きな成長意欲として評価されやすいでしょう。
私たち日本人にとってはシンガポール就職となると就労ビザやその他クリアしなければならない課題はあるものの、求人の約8割がスキル重視の採用に移行している現在は、過去の学歴に縛られず、自分の実力や可能性を活かして新たなチャンスに挑戦できる良いタイミングとも言えます。
4.最後に
今回は、MOMのJob Vacancy Report、そして変化する採用トレンドについて企業・求職者双方の視点から詳しくお伝えしてまいりました。
シンガポールの労働市場はますます多様化しており、それに伴い採用戦略も進化しています。
スキル重視の採用は一過性のトレンドではなく、長期にわたり少しずつ増加しているところを見ても今後のスタンダードとなっていくことが予想されます。
弊社でも、この変化に柔軟に対応し、今後も企業様・求職者様双方のお手伝いをしてまいります。
お悩みごとがあれば、お気軽に弊社までお問い合わせくださいませ。
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