シンガポールの地震事情について調べてみた

こんにちは、リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

2025年3月28日、ミャンマー中部でマグニチュード7.7の大地震が発生しました。

地震発生から一週間が過ぎた現在、この地震による死者は3,100人を超え、まだ200人超もの行方不明者もいらっしゃる状況です。

またミャンマーのみならず、陸続きでタイ、中国、ベトナムにも揺れが生じ、特にタイ・バンコクでの建設中のビルが崩壊した事故は、その瞬間をとらえた動画と共に見た人に衝撃を与えました。

被害に遭われた方々の状況が、一日でも早く良くなることを願わずにはいられません。


ミャンマーとは地理的に少し離れたシンガポールも、同じASEANの仲間として数々の支援を表明しています。

地震発生翌日には救助活動支援のための80人からなるチームをミャンマーに派遣。

またシンガポール軍から戦闘機2機、保健省も34人の緊急医療チームを派遣し、今も支援を続けています。

大地震の恐怖は、私たち日本人にとってももちろん他人事ではありません。
 

一方で、シンガポールの地震事情について気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、シンガポールの政府機関や学術機関によって発表された情報をもとに、シンガポールと地震の関係性についてまとめてまいります。


【目次】
1. シンガポールに地震は発生しないけれど…
2. シンガポールでの過去の地震記録
3. 建造物の耐震基準は?
4. それでも、揺れや被害に遭ったら?
5. 最後に


1. シンガポールに地震は発生しないけれど…

シンガポールに大地震は発生しない、というのは周知の事実かと思います。

というのも、シンガポールは地殻プレートの境界上には位置していないことに起因しています。

しかし、最も近いプレート境界としてスマトラ沖のスンダ・メガトラスト(Sunda Megathrust)と呼ばれるプレートがシンガポールから約400キロメートル離れたところにあり、ここで大地震が発生すると、シンガポールの埋め立て地や堆積物の上にある建物を低度で揺るがす可能性があると指摘されています。

それにスマトラ沖地震発生時のリスクは、揺れだけではありません。

この地域全体の地殻構造の変化により、地盤沈下と海面上昇が予想されています。

またシンガポール付近には多くの海底火山があり、これらが万が一噴火した場合の津波、火山灰といった被害を受けるリスクもゼロではないとも言われています。



2. シンガポールでの過去の地震記録

当地での最も古い地震の記録は1833年11月24日。

複数回に渡って観測されたこの揺れはスマトラ島で発生した火山噴火の影響と言われ、マレーシア・ペナン島でも揺れが観測されたそうです。

シンガポールは過去、平均して年に1~2回の頻度でスマトラ島沖地震の影響を受けており、それが特に顕著だったのが2004年と2007年です。
 

2004年2月22日に発生した地震は揺れが5~45秒のあいだ続き、プンゴル、タンジュン・ルー、ビシャン、ウッドランズ、トアパヨ、マリンパレードなどの地域に影響を与えています。

またこの年5月、7月、12月にも地震が観測されていますが、いずれも軽微な揺れにとどまっています。
 

2007年は3月に2回、9月3回、11月1回と、計6回もの地震による揺れが観測された年でした。

最初の2回は3月6日に発生し、この時、セントラル・ビジネス・ディストリクト、センカン、アンモーキオなど島中の多くの場所で数千人が建物から避難しています。
 

このように、目立った被害はないものの地震の影響が全くないとも言いきれないシンガポール。

そのため、1996年からは国立環境庁の気象サービス部門において、同エリアの地震を検知し、地盤変動を監視するための地震監視ネットワークを現在島内に8ヶ所設置しています。

 

3. 建造物の耐震基準は?

一般的に、シンガポールでは低レベルの地震が発生して家具が動いたり建物が揺れたりすることはあっても、建物の構造上の安全性に影響を及ぼすほど深刻ではないと言われています。

これは、定期的に見直されるシンガポール建築建設庁(BCA)の建築基準法において、すべての建物は地震による振動や衝撃に耐えられるように建造が定められているからです。

2013年には建物が耐震性を持つことを保証するためのガイドラインである「ユーロコード」を採用しています。

これには例えば、特定地域 (地盤) 上での高さ20メートルを超える新規 / 既存の建物は、50年以内に10%を超える確率で発生するスマトラ沖地震による影響に対応するべく、耐震性を強化するためのフローチャートに従って建設 / 改築することなどが定められています。
 


4. それでも、揺れや被害に遭ったら?

ここまで、シンガポールでは大地震のリスクが低いこと、また耐震性から建物への信頼も高いことをお伝えしてまいりました。

それでも、地震発生による揺れを感じないというわけではありません。

地震の揺れを感じたらどうすればいいでしょうか。

基本的には日本での対応と同様ですが、以下の事項に改めて留意しておきましょう。
 

■屋内にいる場合
・テーブルの下など、窓ガラスや落下物のない安全な場所に避難する
・火気を使用しない
・エレベーターを使わない


■屋外にいる場合
・揺れが収まるまで屋外にいる
・建物から離れる
・負傷者がいる場合は、シンガポール民間防衛隊 (SCDF) またはシンガポール警察 (SPF) に連絡しましょう
 


5. 最後に

安全性が極めて高いシンガポールですが、考えてみれば脅威は地震だけでなく、例えば火災や交通事故などに遭遇することもありえますし、何が起きるか分からない世の中です。

自然災害の可能性は低いからと慢心するのではなく、できる限りの準備はしておくべきだと感じました。

また、ミャンマーをはじめ日本、また世界の国々においても不遇の暮らしを強いられる方々は多くいらっしゃいます。

そういった方々に個人で可能な限りの支援を続けることはもちろん、穏やかな日々が送れることは当たり前ではなく、さまざまな奇跡の上に成り立っていることへの感謝を忘れたくないと改めて思いました。

この記事を読んでくださった皆様のご健康及びご安全を祈願いたします。

 

【参照ウェブサイト一覧】
National Library Board

南洋工科大学内 Earth Observatory of Singapore研究室

南洋工科大学 2024年7月29日発表
Undersea volcanoes in region might put Singapore at risk: Study

建築建設庁
 

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