こんにちは。

リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。

中華系をはじめマレー系やイスラム教徒など様々な文化やバックグラウンドを持つ人々が共生する多文化社会のシンガポール。

中でもイスラム教徒の方々にとっては今年2025年は3月2日から断食期間(ラマダン・Ramadan)に入っており、今月3月30日に断食の終わりを迎えます。

断食明けはハリラヤ・プアサ(別名ハリラヤ・アイディルフィトリ、またはイード・アルフィトル)と呼ばれ、イスラム暦で日程が前後するため年によってその日は異なりますが、シンガポールでは毎年祝日となります。

この時期のシンガポールは街中が緑の飾りで彩られ、今年もラマダン・ハリラヤの季節がやってきたと感じさせてくれます。

今回は、そんなハリラヤ・プアサのシンガポールでの祝い方、そしてハリラヤ・プアサを祝う際の企業や職場でのサポート方法という視点でご紹介いたします。

【関連記事】【ラマダン2024】知っておきたい　断食中の人々への接し方

【目次】
1.ハリラヤ・プアサとは
2.ハリラヤ・プアサの伝統と慣習
3.職場での配慮
4.最後に

1. ハリラヤ・プアサとは

改めて、ハリラヤ・プアサ(Hari Raya Puasa)とは、イスラム教徒の方々が1か月間のラマダン(断食月)を終えたことを祝う祝祭で、「ハリラヤ・アイディルフィトリ(Eid al-Fitr):断食祭」とも呼ばれます。

東南アジアではシンガポールをはじめ、マレーシア、インドネシア、ブルネイなどのイスラム教徒が多い地域で盛大に祝われます。

先に触れた通り今年は3月31日が当日です。

この日は礼拝や家族訪問、伝統料理の振る舞い、寄付や慈善活動などが行われます。

また、この時期ならではのバザールやライトアップも人気。

シンガポールでは、ゲイラン・セライ地区にあるラマダン・バザール(2月26日～3月31日)を中心に、多くの人出で賑わいます。

2. ハリラヤ・プアサの伝統と慣習

ハリラヤ・プアサはどのように過ごすのでしょうか。

本来は1日の祝日ですが、シンガポールやマレーシアでは約1か月にわたりお祝いが続きます。

その伝統や慣習をおさらいしてみましょう。

礼拝と家族・親族訪問

断食明けの朝には、多くの人々がモスクへ礼拝に向かいます。

その後、まず両親や年長者を訪ね、これまでの行いについて許しを請い、感謝を伝えます。

さらに親戚や友人の家を訪れ、共に食卓を囲みながら祝います。

親しい友人を招いて「オープン・ハウス」と呼ばれる会を開くこともあります。

伝統料理を囲む

ハリラヤ・プアサには、多彩な伝統料理が振る舞われます。

代表的なものには、以下のような料理があるそうです。

レンダン：牛肉をココナッツミルクと香辛料でじっくり煮込んだ料理
ロントン：スパイシーなカレー風味のスープ
サテ：味付けした肉の串焼き
クトゥパット：ココナッツの葉に包まれたマレー風ちまき

また、デザートには、パイナップルタルトやオンデオンデ(ヤシの砂糖を包んだ団子)などが楽しまれます。

これらのごちそうを囲み、神の恵みに感謝を捧げるのが慣習となっています。

伝統衣装を着る

ハリラヤ・プアサでは、新しい服を身にまとい、心身ともに清めることが大切とされています。

男女異なる伝統衣装があります。

女性：バジュ・クルン(ロングスカートとゆったりとしたブラウス)
男性：バジュ・マラユ(ゆったりとしたズボンとシャツ)

素材や色のバリエーションが豊富で、華やかな衣装が目を引きます。

最近では、家族で同系色の衣装を揃えるスタイルも人気のよう。

ドゥイ・ラヤ(お年玉)を贈る

「ドゥイ・ラヤ」と呼ばれるお年玉を用意し、祝福や感謝の気持ちを表します。

イスラム教において神聖な色とされる緑色の封筒を用いて子どもや年長者、メイドさんなどに贈ります。

最近では、デザインも多様化し、カラフルな封筒も見られるようになりました。

3. 職場での配慮

ラマダンの時期と同様に、ハリラヤ・プアサの時期においても職場では多様な文化への配慮があると良いでしょう。

例えば、断食明けを祝う食事会「イフタール」をはじめとしたイスラム教徒・非イスラム教徒問わず従業員の交流を深められるイベントを企画してみたり、先出のパイナップルタルトやオンデオンデのような伝統的なお菓子を職場のメンバーで味わい、祝福の気持ちを共有したり。

文化理解に繋がるようなイベントを実施することで、より包括性のある職場環境を醸成することができます。

なお、社内でケータリングサービスを利用する際には、ハラル認証を受けた業者の利用を検討する、またはハラル対応と非ハラル対応のエリアを明確に分けて分かりやすく表示するなど、異なる文化や宗教への理解と配慮を忘れないようにしましょう。

4. 最後に

今回は、今月3月31日に予定されているハリラヤ・プアサに関する情報をお届けしました。

この機会にぜひ多様な文化やしきたりへの理解を深め、多様性を尊重することで、より一層シンガポール生活を楽しめると良いですね。

ハリラヤ・プアサは、単なる断食明けの祝祭ではなく、家族や友人との絆を深め、感謝と寛容の精神を大切にする大切な日。

皆様にとっても実りの多き1日となりますよう、一同お祈り申し上げます。

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