IMD国際競争力ランキング2024版はシンガポールが4年ぶりに首位!
こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
スイスの国際経営開発研究所が毎年調査する「国際競争力ランキング」。
その2024年版の結果が発表され、シンガポールが栄えある首位を獲得しました。
同国が首位に位置づけるのは、4年ぶりとなります。
今回のブログでは、IMD国際競争力ランキングについてと、シンガポール首位奪還の要因についてお届けしていきます。
【目次】
1. IMD国際競争力ランキングとは?
2. 国際競争力ランキング2024の結果~トップ20&アジア諸国
3. シンガポールに関する分析
4. 最後に
1. 国際競争力ランキングとは?
「国際競争力ランキング」は、スイスの国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表する権威ある格付けで、企業がビジネスで競争力を発揮しやすい環境が整っている国・地域の順位付けをするものです。
1989年より始まったこの格付けは、2024年版では67ヶ国が対象となり、前年より新たにナイジェリア、ガーナ、プエルトリコが調査対象に加えられました。
経済の競争力を測るにはGDPや生産性といった数字だけでなく、政治的、社会的、文化的な側面も重要な要因となりえます。
例えば政府は、効率的なインフラ、制度、政策などを用意することで企業側の持続可能な価値創造を促すという重要な役割を担っています。
こういった前提の下、実行可能なデータ分析を各国に提供することを目的に、国際競争力ランキングは創設されました。
調査方法としては、結果の3分の2のウェイトを占める164の統計資料から分析したハードデータと、3分の1ウェイトを占めるソフトデータの分析・数値化することによって編み出されます。
2024年のソフトデータは、世界のエグゼクティブ層6,612人からオンラインでアンケート回答を得ています。
これらハードデータ、ソフトデータの結果を基に、
・経済パフォーマンス(国内経済のマクロ経済評価)
・政府の効率性(政府の掲げる政策がどの程度競争力を助長しているか)
・ビジネスの効率性(企業がどの程度革新的で、収益性が高く、責任ある方法で業績を上げているか)
・インフラ(基礎的、技術的、科学的、人的資源がビジネスのニーズを満たす度合い)
の4つの要素から各国を評価しています。
IMD World Competitiveness Ranking
2. 国際競争力ランキング2024の結果~トップ20&アジア諸国
それでは、今年2024年版のランキング上位をご紹介していきます。※( )内は前年度順位
1位:シンガポール(4)
2位:スイス(3)
3位:デンマーク(1)
4位:アイルランド(2)
5位:香港特別行政区(7)
6位:スウェーデン(8)
7位:UAE(10)
8位:台湾(6)
9位:オランダ(5)
10位:ノルウェー(14)
11位:カタール(12)
12位:アメリカ(9)
13位:オーストラリア(19)
14位:中国(21)
15位:フィンランド(11)
16位:サウジアラビア(17)
17位:アイスランド16)
18位:ベルギー(15)
19位:カナダ(23)
20位:韓国(28)
他のアジア諸国を見ていくと、
25位:タイ(30)
27位:インドネシア(34)
34位:マレーシア(27)
38位:日本(35)
52位:フィリピン(52)
という結果でした。
日本は過去最低の順位を記録しており、数値の高い項目はあったものの、「ビジネスの効率性」の低下が後退に響いた結果となりました。
3. シンガポールに関する分析
4年ぶりの首位に返り咲いたシンガポールは、2020年に初の1位を獲得。
以来、5→3→4位へと推移していましたが、今回はランク上位常連国であるスイスやデンマークを抑えての首位奪還となりました。
今年の結果の要因としては、4つの要素すべてで数値が高かったことに加えて、「政府の効率性」「ビジネスの効率性」が際立った点にあります。
中でも「ビジネス上の規制」「制度的な枠組み」「労働市場」「ビジネスにおける姿勢・価値観」「技術インフラ」といった項目においては他国に抜きん出ており、「環境と社会的結束を維持しながら、高いレベルの所得と国民生活の質を生み出すことができている」と評価されました。
一方で、シンガポールが今後抱える課題としては
・労働者の再教育や企業の変革を支援することで、AIなどの新技術による機会を捉え、破壊に対処すること
・地政学的緊張が高まる中、不確実な外部環境を乗りきること
・資源制約の中で競争力を強化すること
が挙げられています。
4. 最後に
今回は、毎年結果が注目されるIMD国際競争力ランキングについてお届けしました。
単なる格付けではなく、各国のビジネス指針にもなりうる提言を含んだ同調査は、各国のビジネス環境の現状・展望を知るのに適したツールです。
元データを見ていくとさまざまな発見があり、興味深いことと思います。
ぜひリサーチにお役立てください。
IMD World Competitiveness Ranking
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