● Job Sharing (ワークシェアリング)
ワークシェアリング(ジョブシェアリング)は2名以上のパートタイム従業員が1名のフルタイムの従業員の責任を分担することです。
責任は機能、地理(担当区域)、時間、または仕事量によって分割される場合があります。
ワークシェアリングの従業員は1日や1週間、隔週の内の異なる時間に勤務をし、双方を補って業務を遂行する働き方となります。
早期退職を希望者や産休復帰を希望する社員など、業務の引継ぎや受け渡し時にも有効に活用できるかと思います。
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールの平林です。
新型コロナウイルスが人々の暮らしにもたらした大きな変化の一つが「働き方」ではないでしょうか。
従来のオフィスへ通うスタイルから、在宅ワークやフレックス制など、様々な働き方に注目が集まり、コロナ終息後も継続している企業が多く存在します。
昨年4月にMOMはコロナによる経済成長の鈍化を防ぐために「Flexible Work Arrangement(FWA)」という、新たな働き方に関する指針を発表しております。
その発表で政府は「長期的な運用の有効性と持続可能性を確保するために、雇用主は定期的に従業員と協力してFWAを採用する必要がある」と述べております。
実際に、雇用主はどのような取り決めを行うべきなのでしょうか。
今回は前編として、TAFEPが定めるフレキシブルワークアレンジメント(FWA)の概要と種類について、詳しくご紹介いたします。
フレキシブルワークアレンジメント(FWA)とは直訳すると「柔軟な勤務形態」となり、雇用主と従業員が同意する従来とは異なる勤務形態のことを指します。
FWAは大まかに以下の3種類へ分類されます。
TAFEPはFWAを行うことで、競争力のある人材の惹きつけや確保、およびその人材をより有効に活用するために役立つと述べております。
また働き方の柔軟性により、従業員は仕事だけでなく、プライベートの責任もより適切に管理・対応できるため、結果的に仕事の生産性を高めると考えております。
それではTAFEPが定める具体的なFWAの種類について見ていきましょう。
雇用主は、組織(業務上の有効性)と従業員のニーズに基づき、最も適切で柔軟な勤務形態を選択することが可能です。
Compressed Work Scheduleとは、フルタイムと同様の勤務時間でありながら、勤務日を圧縮(減らす)するというものです。
例えば週4日勤務で40時間(1日10時間勤務)など、雇用法第4項でカバーされていない従業員が前提となります。
仕事に複数人の同時作業が必要な場合や毎日の締め切りが伴う場合は、この取り決めは適切ではないかもしれません。
一方で、週単位もしくは月単位の締め切り、かつある程度の裁量が個人にある場合は有効と言えるでしょう。
Creative Schedulingは柔軟で特定の従業員のニーズを満たすため作業スケジュールを指します。
例えば、今週は月、水、金曜日は6時間勤務、火、木曜日は11時間勤だが、来週は通常シフトなど、個人によって完全に作業シフトを構築できるものです。
個人やその家族のニーズによって、従来の勤務スケジュールにとどまらず、柔軟な勤務を可能にすることで、従業員の定着率を上げることが可能です。
従業員が休日を選択することが可能で、勤務スケジュールも自ら計画し、決定することです。
雇用主は日常業務が円滑に行われ、かつ休日が公正に割当てられるように注意する必要があります。
特に業務上、週末に作業や勤務が発生する業界においては有効な方法です。
多くの会社で既に導入されているフレックス制は、従業員が特定の期間内に特定の時間働くように規定されている取り決めです。
この取り決め下では、従業員は勤務週内に規定された時間を完了する限り、いつでも働くことが可能です。
フレックスアワーは特に個人や家族のニーズがある場合、また個人の裁量である程度作業が進められる場合に有効です。
フレックスシフトも今や一般的となりつつありますが、従業員が勤務できる日または時間を指定し、それに応じてスケジュールを組む取り決めとなります。
例えば、子どものお迎えのために毎日15時半から16時までは休憩時間とし、その分朝8時半から9時を勤務時間とする、などです。
この取り決めは時短勤務などとも呼ばれており、仕事の分担にも有効です。
シフト交換が可能な場合、必要に応じて従業員同士のシフトを交換することができます。
個人や家族のニーズ・責任に併せてスケジュールを調整することができ、より柔軟な働き方が実現可能です。
従業員は仕事や個人的なコミットメンとに併せて毎日の始業・終業時刻を変えることが可能です。
この場合、通常はコアタイムという従業員全員が必ず勤務しなければならない時間を設ける場合が多くあります。(例えば午前10時~午後4時等)
これは異なるタイムゾーン(国)で仕事をする多国籍企業などで役立ちます。
リモートワークなどとも呼ばれるこの制度は、職場以外の場所で仕事が行われるフレックスプレイスの取り決めとなります。
情報通信技術を使用して、チームを仮想的に接続することで、従業員がリモートで対応することが可能です。
在宅勤務は状況に応じて、また定期的に行うことも可能です。(例えば、週3日は在宅、週2日は出社など)
臨時雇用とは特定の期間またはプロジェクトのためにパートタイムまたはフルタイムの従業員を雇用することで、一般的に契約社員とも呼ばれます。
臨時雇用従業員は管理職から一般従業員まであらゆるレベルの雇用が可能です。
季節労働やプロジェクトベースの雇用がこれに該当します。
ワークシェアリング(ジョブシェアリング)は2名以上のパートタイム従業員が1名のフルタイムの従業員の責任を分担することです。
責任は機能、地理(担当区域)、時間、または仕事量によって分割される場合があります。
ワークシェアリングの従業員は1日や1週間、隔週の内の異なる時間に勤務をし、双方を補って業務を遂行する働き方となります。
早期退職を希望者や産休復帰を希望する社員など、業務の引継ぎや受け渡し時にも有効に活用できるかと思います。
日本でも一般的なパートタイム就労ですが、シンガポールのパートタイム勤務は1週間に35時間未満という決まりがあります。
上記は1週間に1日未満勤務の場合も含まれ、一般的に時給での給与支払いとなります。
パートタイム勤務の詳細については、こちらからご確認ください。
組織に参加する従業員がパートタイムポジションからフルタイムポジションへ段階的にシフトできる制度を指します。
長期休暇後に職場復帰を希望する従業員などもこれに該当し、例えば産休明けの社員がパートタイムから復帰し、段階的にフルタイムへ戻る時などに有効です。
フェージングアウトは逆に組織を離れる従業員がフルタイムからパートタイムへ移行し、段階的に退職するケースにあたります。
段階的に入退社をすることで、業務の引継ぎが円滑に行うことができ、従業員だけでなく雇用主にとっても事業をストップさせないための有効な手段といえるかと思います。
Phased RetirementはPhasing Outと異なり、現在とは別の職種(能力やスキル)で働き続けたいと考えている従業員のために設計されているものです。
例えば、営業担当者が営業サポートへ移行し、パートタイム勤務などの段階的退職制度を利用して勤務スケジュールを柔軟に短縮しつつ、労働力として留まることができます。
今後、雇用主は高齢者の役割と職務範囲の再設計にも力を入れて行かざるを得ない状況にあるかと思います。
この制度を利用することで、組織は従業員の才能と専門知識・経験を維持することができ、従業員は組織に貢献し続けることができるため、双方にとって有利と言えるでしょう。
特定のプロジェクトが完了するまでに従事する取り決めとなります。
契約期間はタスク(プロジェクト)、主要業績評価指標、または期間に基づいて決められ、双方の合意によって延長も可能です。
人手が必要になった時、定年退職した従業員が一時的または短期的に職場に復帰する取り決めとなります。
その場合、雇用主は退職者が組織を離れた後も連絡を取り合い、継続的なトレーニングの機会を提供します。
季節労働とは、繁忙期に従業員を雇用して一時的にマンパワーを強化することです。
例えば、春節の季節に小売従業員を多く採用するなど、短期アルバイトもこれに含まれます。
週末労働は、平日学業で忙しい学生や主婦などに有効な働き方となります。
特に週末勤務が多い業種にとっては、働き手を探す上での有効な取り決めです。
今回は、TAFEPが定めるフレキシブルワークアレンジメント(FWA)の概要と種類についてまとめてみました。
既に多くの企業で取り入れられている内容も多く、導入にさほど工数がかからないものもあるかと思います。
これを機に従業員との会話の機会を増やし、お互いにとってより効率的な働き方を相談してみてはいかがでしょうか。
従業員の潜在的な課題解決や業務効率の向上、しいてはエンゲージメントを高めるためにも有効かと思います。
次回はFWAの取り決めにあたる注意事項をご紹介予定ですので、引き続きリーラコーエンブログに足を運んでいただければ幸いです。
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