今だからこそ知っておきたい、シンガポールの病気休暇「Medical Leave」
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。
新型コロナウイルスの流行が始まって以降、この数年間で人々のワークスタイルや健康管理意識は日々変化しており、
企業の福利厚生制度も様々な見直しが行われています。
中でも、体調不良で仕事を休まなければならないときに取得できる病気休暇については、日々柔軟な対応が求められています。
企業選びをする際に、福利厚生を重視される方も多いのではないでしょうか。
日本では様々な年次有給休暇があるものの、病気休暇は法律では定められておらず、各企業の任意判断に委ねられています。
一方で、シンガポールでは、病気休暇を「Sick Leave」または「Medical Leave」などと呼び、労働法で定められています。
最近では、新型コロナウイルスの状況を加味しながら様々な施策を導入しています。
今回は、そんなシンガポールにおける病気休暇について、詳しく解説いたします。
【目次】
1.シンガポールの病気休暇「Medical Leave」って?
2.新型コロナウイルスに関連する病気休暇の措置
3.サービス契約で働く従業員への取り組み
4.最後に
1. シンガポールの病気休暇「Medical Leave」って?
シンガポールでは、雇用法の下、同じ企業に3ヶ月以上就労している場合に有給で適用することができます。
体調不良が分かった際に即時に会社へ報告して、休暇申請を行います。
雇用法では、休んだ日の前後48時間で会社への報告をするよう定めています。
休暇の種類は2種類あります。
1)Paid Outpatient Sick Leave (病気休暇):
医師または歯科医師の診断書とともに適用されます。
取得できる日数は14日間です。就業期間によって以下のとおり変化します。
4ヶ月目~:5日間
5ヶ月目~:8日間
6ヶ月目~:11日間
7ヶ月目以降:14日間
2)Hospitalization Leave (入院休暇):
病院での治療が必要であると医師の診断があった場合、その期間において適用されます。
例えば手術をした場合、妊娠による合併症などで安静にする必要がある場合、または手術後に一定期間の安静が必要な場合などです。
最近では新型コロナウイルスによる隔離措置命令も本休暇が適用となりました。
入院に限らず、在宅療養の場合も最長で60日間取得できます。こちらも就業期間によって以下のとおり変化します。
4ヶ月目~:15日間
5ヶ月目~:30日間
6ヶ月目~:45日間
7ヶ月目以降~:60日間
なお、いずれの場合も診断書を発行する病院は、MOMが認定しているこちらの病院が対象です。
体調が回復し、職場へ復帰する際に医師の診断書を提出します。
2.新型コロナウイルスに関連する病気休暇の措置
シンガポールでは、新型コロナウイルスに関連する病気休暇についても柔軟な措置を取っています。
例えば、感染が判明した場合はもちろんのこと、隔離措置命令が出て働けなくなった場合においても、病気休暇を使用することができます。
人によって症状の重さが異なる新型コロナウイルス。
軽症で病院に行かず療養のみを選択した場合は、医師の診断書なしでもARTの陽性結果のみで病気休暇を使用することができます。
また、あえて休暇を取得せずに働くことも選択できます。
新型コロナウイルスへの感染が分かった場合、オフィス出勤の場合は例外なく出社不可になりますが、
軽症や無症状の人は回復するまで自宅で療養しながら働くことも可能になりました。
シンガポールでは50%の従業員がオフィスへ戻って良いことになっており在宅勤務がデフォルトではなくなりましたが、
自分のワークスタイルに合わせて、働く場所を柔軟に選択できる企業も増えています。
また、希望者には3回目のブースター接種も行き渡っている現在、予防接種による体調不良を加味した措置も積極的に呼びかけています。
例えば、接種の翌日に副反応で体調不良の場合は医師の診断なしで病気休暇の取得許可をする、などです。
これらは法律で定められているわけではありませんが、積極的に実施をする企業も増えています。
3.サービス契約で働く従業員への取り組み
最近では、雇用法の適応下の従業員のみならず、サービス契約で働く運転手などの職種においても手厚いケアが積極的に行われています。
中でも、配車サービスを提供する大手企業「GRAB」は、一日に多くの人と接触する自社運転手について、
新型コロナウイルスに感染して働けなくなった場合、最大1,000シンガポールドルの手当が支給される施策を運用しています。
4.最後に
今回は、シンガポールの病気休暇についての解説と最新情報をお届けしました。
旧正月が明けて以降、連日1万人超えの新型コロナウイルス感染者を記録しており、社会生活において多大な影響が出ているシンガポール。
MOHは、職場感染を最小限にとどめるために、オフィスへ出社する社員は1週間に1回自己ARTで陰性確認をした上で出社するように呼びかけるなどしています。
従業員の健康第一、特に新型コロナウイルスパンデミック下においては、各企業で様々な工夫や柔軟な姿勢が求められていると同時に、
積極的な休暇の取得が推奨されています。
これからシンガポールで働きたいと思っている方や、すでに働いている方のご参考になれば幸いです。
なお、本記事はこちらより英語でもお読みいただけます。
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