第二次トランプ政権誕生に考える、アジア経済・雇用への影響

こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。

先の2025年1月20日、第47代米国大統領にドナルド・トランプ氏が就任しました。

就任当日、早々に「パリ協定」離脱やWHO脱退、不法移民対策関連など30近くもの大統領令を発布。

これまでのバイデン政権から大きく方向転換する形となり、「米国第一主義」を貫く姿勢を見せています。

また、彼の再選において大きな役割を果たしたとされるイーロン・マスク氏。

この両者の舵取りによって、今後どのような影響が世界経済にもたらされるのか、そして私たちの住むアジア経済への影響はどのようなものか、これまで分かっていることを中心にまとめてまいります。

※こちらの記事は、2025年2月7日時点での情報を基に執筆しております

【目次】
1. 第二次トランプ政権におけるアジア経済・貿易
2. アジアの国別に見る、経済や雇用への影響
3. イーロン・マスク氏がもたらす影響
4. 最後に

 

1. 第二次トランプ政権におけるアジア経済・貿易

トランプ氏の「米国第一(アメリカ・ファースト)」主義は、第一次政権においてアメリカ貿易の再調整と、産業を米国に再移転することに重点を置いたものでした。

今回、二期目においても基本的にこの戦略を踏襲することを発表しています。

 

■これまでの主な発表とアジアへの影響トピックス

・中国、メキシコ、カナダへの新たな関税
トランプ政権は中国製品への関税引き上げを決定しており、アメリカにおける中国製造業への依存度を下げるよう強く訴えています。この動きにより、ベトナム、インド、マレーシア、インドネシア、シンガポールといったアジアの代替製造拠点に利益をもたらす可能性があります

・貿易協定の見直し
米国は日本、韓国、ASEAN諸国などとの貿易協定を再交渉することで、米国企業にとってより有利な条件を確保するとの見方が強まっています

・移民と労働力の変化
トランプ大統領は、移民政策の厳格化と連邦政府職員の早期離職化を推進しています。これらの政策は、リモートワークや熟練労働者の流動化に対する今日の世界の考え方に影響を与え、巡り巡ってアジアにおける人材獲得戦略に影響を与える可能性があります

細かな部分においては、今後の状況などに応じて変化していくものと思われますが、基本姿勢としては上記のような方針がしばらく続いていくものと思われます。


2. アジアの国別に見る、経済や雇用への影響

今回の政権交代によって生じる影響の良し悪しは、国によって大きく異なります。各国において予想される動向をまとめていきます。


■中国「貿易関係の変化と製造業」
・輸出減速:今回発表されている追加関税と投資規制は中国の経済成長を減速させ、在中国企業はサプライチェーンの移転を余儀なくされる可能性があります

・中国国内イノベーションの推進:今後AI、半導体、電気自動車産業をさらに強化することで、米国技術への依存度を下げることが予想されます

・雇用面への影響:企業は研究開発と国内消費主導型産業へ雇用の重点を移す動きが予見されます

 

■東南アジア「多様化するサプライチェーンによる恩恵を享受」
・ベトナム:米中間の緊張が高まることで最も恩恵を受けるのはベトナムかと思われます。ベトナムの対米輸出は2024年に前年比14.6%増。エレクトロニクス、繊維、家具などのセクターへの投資は増加の傾向を見せています

・シンガポール:世界的な金融・物流ハブとして、中国に代わる選択肢を求める多国籍企業がシンガポールに集積する流れが強まります。またフィンテックとAIセクターへの投資が急増する可能性があり、地域本社やテクノロジー主導の職務において高い需要が見込まれます

・マレーシア:半導体製造拠点としての立場を確立し、チップ製造への投資をさらに誘致する可能性があります

・インドネシア、フィリピン:原材料の需要増とデジタル経済の拡大から恩恵を受け、鉱業、フィンテック、eコマース関連の雇用が増加する可能性があります

 

■日本、韓国「戦略的結びつきの強化」
・防衛協力の強化:米国の次世代型ミサイル防衛シールドによって防衛技術の提携が促進。日韓の先端技術産業に利益をもたらす可能性があります

・自動車・半導体産業:日本の自動車メーカーと、韓国の半導体大手企業は、米国との協力関係強化によって利益を得る可能性があります

・雇用面への影響:ITエンジニア、AI専門家、サイバーセキュリティの専門家の需要増加が予想されます

 

■台湾「半導体の優位性とリスク」
・TSMCの成長:世界最大のチップメーカーであるTSMCは、安定した半導体サプライチェーンを確保するため、米国の支援を受ける可能性があります

・地政学的懸念:台湾をめぐる米中間の緊張は重要なリスクとして今後も継続しそうです
・雇用面への影響:半導体関連の人材やAIエンジニアの獲得競争が激化し、人材不足につながる可能性があります

 

トランプ政権における経済的影響は、とりわけ東南アジア地域においては恩恵が期待できそうです。

 

3. イーロン・マスク氏がもたらす影響

テクノロジーとビジネス界の革命児と称されるイーロン・マスク氏。

トランプ大統領の政策にとどまらず、彼のベンチャー企業の数々は世界のテクノロジー領域の動向を大きく握っています。

テスラ社、スペースX社、ニューラリンク社のCEOとして、また現在は政府効率化省(DOGE)のトップとして、今後も自動化産業、エネルギー産業、AI産業において影響力を発揮することと思われます。

・電気自動車分野:アジア、特に東南アジア地域におけるテスラ社の事業拡大により、EVエンジニア、バッテリー生産の人員、AIスペシャリストの需要が加速すると見られています

・生成AIとオートメーション:マスク氏の功績によるAI分野の進歩は、製造業やサービス業において雇用機会と離職リスクの両方を生み出し、産業全体の自動化を促進する可能性があります

・宇宙開発と再生可能エネルギー:スペースX社の衛星インターネットサービス「スターリンク」と、テスラ社の太陽光発電システムや大容量蓄電池などにおけるイニシアチブは、アジア全域の電気通信とグリーン・エネルギー分野に新たな雇用市場を創出する可能性があります

 


4. 最後に

第二次トランプ政権は、まだ発足間もない時期ながら様々な変化を世界経済にもたらしています。

東南アジア、シンガポールにおいてもその影響力ははかり知れず、米国の政策や、大統領・マスク氏の言動への注目はより増していくことでしょう。

今後も動向に大きな変更が出た場合には、当社ブログでもお伝えしてまいります。


【 参考記事 】

  1. Singapore Economic Development Board
  2. Vietnam Ministry of Industry and Trade
  3. Bloomberg
  4. TSMC Official Website
  5. U.S. Trade Representative
  6. Tesla Official Website
  7. SpaceX Official Website
  8. AP News on Space Defense Shield
  9. Business Insider on Remote Work Policies
  10. The Times on DEI Policies


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