取得が難しいって本当?シンガポール就労ビザ(EP)について
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールの平林です。
近年「Employment Visa(EP)の取得が厳しくなった」という話をよく耳にされるかと思います。
その背景には国内人材(シンガポール人、PR保持者)の雇用確保やコロナの影響がありますが、
一体どのような点が難しくなったのでしょうか。
そこで今回は、2021年10月時点のEPビザ申請に関する情報や弊社の実体験についてまとめてみました。
今後シンガポール就職を希望される方や島内でのご転職をお考えの方のお役に立てば幸いです。
目次
1. EP申請の条件(2021年10月時点)
2. 申請プロセス
3. リジェクト理由と追加提出資料
EP申請の条件(2021年10月時点)
まず初めに現在の申請条件をチェックしてみましょう。(最新情報や詳細はMOMのサイトをご確認ください)
申請条件
□ 月額給与が SGD4,500以上であること
□ Management、Executive以上もしくは専門職
□ 4年制大学卒業以上もしくは資格 (大卒資格は必須ではありません)
申請給与について
上記の通り、最低給与はSGD4,500となるのですが、給与条件は個人の年齢と学歴によって異なります。
ご自身のEP金額はご存知の通りSelf Assesment Tool(SAT)から調べることが可能なのですが、
SAT結果で表示された金額通り申請しても、必ずしもEPが取得できるとは限りません。
金融業界であれば、最低給与額はSGD5,000となり、40代以上の方であれば、SGD10,000程度は必要です。(MOM参照記事)
また最近の傾向としては、直近の給与との乖離もリジェクト理由に挙げられており、
少なすぎても多すぎても引っかかるケースがあります。
(ポジション、経験と過去給与のバランスを総体的に判断される様です)
申請プロセス
それでは、実際の申請プロセスを見ていきましょう。
ご存知の通り、申請前にMyCareersFutureへの求人掲載が必要となります。
MyCareersFuture(MCF)への求人掲載について
2014年8月からローカル人材への雇用機会を平等に提供するべく、MCFへの求人掲載がスタートしました。
当初はEP申請のみ、事前に14日間の連続掲載が必要だったのですが、
2020年10月以降は掲載期間が28日になりました。(Sパス申請も対象に含まれます)
掲載内容はTAFEPというシンガポール政府が定める雇用機会均等法に基づく内容でなくてはならず、
あくまでローカル人材の雇用を目的とした掲載内容や選考プロセスが必要となります。
そのため近年では、掲載内容が妥当ではない場合にTAFEPへ通告できるツールの導入であったり、
実際の選考プロセス(面接やオファー履歴)なども厳しくチェックされるケースがあります。
掲載したから終わりではなく、実際に適切なプロセスを踏んでいるかが重要となります。
EP申請について
MCFの掲載期間終了後にEP申請へと移るのですが、ここでも注意が必要です。
EP申請時にはMCFの掲載番号と選考人数をシンガポール人、PR保持者、外国人別に入力しなければいけません。
また、申請条件はMCF掲載内容に則したものでないと申請自体が不可となります。
(申請給与はMCF掲載給与額の範囲内である必要があります)
申請から仮承認(IPAレター受領)までの期間
申請から仮承認までは約3週間となり、早い場合は10日ほどで承認が下りるケースもあります。
ただし、一度リジェクトされてしまうと、再申請にはさらに3週間程かかります。
一度の再申請で承認が下りないケースも多く、弊社では3か月近くかかった事もありました。
リジェクト理由と追加提出資料
それでは一体どういった理由で申請がリジェクトされてしまうのでしょうか。
リジェクト理由を企業側と個人側の2つに分けて説明いたします。
リジェクト理由(企業側)
<企業>
- 資本金が小さい
- 売上が小さい
- 外国人比率が大きい
企業側のリジェクト理由のポイントは外国人雇用に対する十分な資金力とローカル従業員数とのバランスです。
EP申請前には必ずEPOLから直近3期分の売上数字をアップデートする必要があります。
また継続して事業が行われていること、今後の成長性などもポイントとなります。
EPはSパスとは異なり外国人枠(Quota)の規制がないため、従業員比率に関しては一概には分からないのですが、
追加提出資料では全従業員のデータ(国籍、ポジション、給与等)の提出が求められることもあります。
リジェクト理由(個人側)
<個人>
- ポジションに対する経験が少ない
- 過去給与との相違
個人側の理由の最大のポイントはやはり給与となります。
経験も年数を見るというよりは、申請金額から個々人の経験値を見ており、低すぎても多すぎてもダメというのがまた厄介なポイントです。
実際に弊社でも過去給与との差額が大きく(大幅にアップしている事が理由となり)、リジェクトをされたことがあります。
その際は、前職での賞与を含めた金額(過去の給与明細の提示)や今回のポジションに対する責任範囲等を説明し、
1度目のアピールで無事に承認されました。
追加提出資料について
MOMからのリジェクト理由をもとに、それに応じた追加提出資料やアピールレターを作成します。
以下がよくある提出資料の一例です。
- 会社の銀行口座明細、大口企業との取引履歴、契約書、決算書の提示
- 全従業員リスト
- 過去3か月分の全従業員への給与支払い履歴
- 申請者の過去3か月分の給与明細
- 申請者の履歴書
- 申請者の第三者機関からの学歴証明書
アピール文について
アピール文とはリジェクト理由に対して、いかにこの人材が会社にとって必要かをアピールする文章です。
いわば追加提出資料の補足文章となり、文字で直接交渉できる最大の機会となりますので、
再申請の際には必ず提出することをおすすめしております。
最後に
今回は最新のEP申請についてまとめてみました。
事前の書類準備からMCFの掲載や選考対応、実際の申請手続きから仮承認まではかなり時間がかかってしまいますので、
早めの対応が必要となります。
また弊社ではMCF求人掲載代行サービス、ならびにビザ申請代行サービスも行っておりますので、
気になる方はお気軽にご連絡下さいませ。
最近、DP保持者の就労規定改定が発表されました。
「DP(Dependent Pass)保持者であればWP(ワークパーミット, 労働許可証)を取得すればお仕事ができる」という新しい制度になりました。
この変更を期に、シンガポールで働きたいと思う方や新しいチャンスをご検討中の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
個別の質問や在住者向けにカジュアル相談も受け付けておりますので、
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【ビザ解説】シンガポールのビザ厳格化について解説(EP / S Pass)