シンガポールの祝日 ハリラヤ・ハッジとは 2024年最新情報
こんにちは。
リーラコーエン シンガポールマーケティング担当の野上です。
多様な文化的バックグラウンドを持つ人々が生活をするシンガポール。
1年を通して様々な文化・宗教的な祝日があることは皆様もご存知かと思います。
まさに今月の6月17日はシンガポールに住む人々の中でもおよそ18 %を占めるというイスラム教徒の人々にとって大切な祝祭日「ハリラヤ・ハッジ」があります。
つい先日の4月10日にあった「ハリラヤ・プアサ」と響きの似た祝日ですが、その意味や起源は全く異なります。
果たしてどのような祝日なのでしょうか。
今回は、ハリラヤ・ハッジについて、その歴史や内容、シンガポールでの祝い方について詳しくご紹介いたします。
【目次】
1.ハリラヤ・ハッジとは？意味と起源について
2.シンガポールでのハリラヤ・ハッジ
3.巡礼としての意味も持つ「ハッジ」
4.最後に
1.ハリラヤ・ハッジとは？意味と起源について
ハリラヤ・ハッジ(Hari Raya Haji)とは、アラビア語の「イード・アル＝アドハー(Eid al-Adha)」としても知られ、「犠牲祭」と訳されます。
この祝祭は、イスラム教の伝説が起源になっています。
預言者であるアブラハムが神への信仰の証として、自らの息子を捧げようとした際に、神が介入し、代わりに羊を捧げさせたというエピソードに基づいているそう。
イスラム教の信者たちにとって、ハリラヤ・ハッジの祝祭は信仰と献身を象徴する重要な宗教行事として毎年迎えられています。
2.シンガポールでのハリラヤ・ハッジ
シンガポールにおけるハリラヤ・ハッジの祝祭は、19世紀に主にアラブ商人やマレー系移民がこの地に定住し始めた頃から始まったとされていますが、現代のシンガポールでは、主にマレー人、アラブ人、インド人、およびその他の多様な民族でムスリムコミュニティが構成されていると言われています。
イスラムのヒジュラ暦に基づくハリラヤ・ハッジ。
毎年日にちが変わりますが、2024年は6月17日がその当日となります。
当日は、シンガポール島内のモスクにて「サラート・アル＝イード」と言われる特別なお祈りを捧げることから始まります。
イスラム教を信仰する人々は朝早くから特別なお祈りのために集まり、その後に集会が行われます。
シンガポールの代表的なモスクと言うと、アラブストリート沿いの「スルタン・モスク」や「八ジャー・ファティマ・モスク」などが挙げられますが、シンガポール・イスラム宗教評議会(MUIS)によると、今年はシンガポールでなんと約60万人のイスラム教徒が島内のモスクでの礼拝に参加すると予想されています。
ハリラヤ・ハッジの特徴的な儀式として、「クルバン」と呼ばれる動物の生け贄を捧げるというものがあります。
この儀式では、預言者アブラハムの献身を象徴するよう羊や山羊、牛、またはラクダなどの家畜が生贄として捧げられ、その肉は家族や友人、そして特に貧しい人々に分け与えられます。
今年は、シンガポールのさまざまなモスクや指定された地域で5,000頭以上の動物が、生活苦を強いられている人や困っている人々に提供される予定です。
また、ハリラヤ・ハッジは、家族やコミュニティの絆を深める重要な機会でもあります。
お祈りと儀式の後、家族が集まってお祝いの食事を楽しみ、親睦を深めます。
特にレンダン、ケトゥパット、ロントンといった伝統マレー料理などが並んだ食卓を皆で囲み団らんします。
このほか、祝祭期間中には様々なイベントや活動が行われることも特徴です。
特に、ゲイラン・セライ地区(Geylang Serai)など多くのムスリムコミュニティが生活する地域では、夜市や文化パフォーマンスが開催され、多くの人々が集まります。
MRT・EW線のPaya Lebar駅とEunos駅間にあるSims AvenueとChangi Road沿いには、華やかな屋台も並ぶ予定だそう。
賑やかな夜となりそうですね！
3.巡礼としての意味も持つ「ハッジ」
断食やお祈りのような伝統行事とは別に、実はハリラヤ・ハッジは「ハッジ(hajj)」と呼ばれるイスラム教徒によるメッカ巡礼期間の終わりを告げるものでもあります。
イスラム月の12ヶ月目に行うとされるメッカ巡礼。
メッカはサウジアラビアにあるイスラム教徒にとって最も神聖な都市と言われている場所で、メッカのモスクへの巡礼はイスラム教の五行(五つの基本的な宗教的義務）の一つにもなっており、健康かつ経済的に余裕があれば生涯に一度は行うべきとされています。
一生のうちにメッカ巡礼ができる信者はなかなか多くはないと言われていますが、それでも1年に一度、全世界から数百万人のイスラム教徒がメッカに集まるそうです。
4.最後に
今回は、ハリラヤ・ハッジの起源と歴史、シンガポールでの祝い方について詳しくお届けしました。
シンガポールに暮らすイスラム教徒の人々にとって、祈りや献身、犠牲、コミュニティ意識の醸成など様々な意味合いを持つ大切な「ハリラヤ・ハッジ」。
多様な文化的背景を持つ人々が暮らすシンガポールでは、宗教的な枠組みを超え、人々の価値観を受け入れ共生することがいかに大切かということを皆が感じられる祝日なのではないでしょうか。
本記事が、皆様の理解を深める一助となれば幸いです。
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