海外に日本の大学!?筑波大学がマレーシアに分校を開校
こんにちは! リーラコーエン シンガポール リサーチャーのShihoです。
先日、マレーシアで筑波大学の分校が開校されたとのニュースが駆け巡りました。
この知らせを聞いて「日本の大学が、マレーシアに!?」と驚かれた方もいらっしゃることと思います。
実はこの計画自体は2018年に発表されたもので、実現までに6年がかかっています。
国立大学である筑波大学が、なぜマレーシアに進出したのか?
また、マレーシアには他にも海外大学の分校があることでも一部で知られています。
今回はそういった教育事情についてお届けしていきます。
【目次】
1. 筑波大学の分校がマレーシアに開校
2. 分校設立の背景
3. マレーシアに多くある、海外大学の分校
4. 最後に
1. 筑波大学の分校がマレーシアに開校
2024年9月に開校した筑波大学マレーシア校は正式名をUniversity of Tsukuba, Malaysia (通称UTMy)と言い、日本の国公立大学では初めての海外分校となります。
筑波大の特徴である文系・理系を融合させたリベラルアーツ(教養)型カリキュラムを通じて、伝統と現代アプローチ双方を取り入れながら日本型高等教育を提供することで、世界が直面する課題解決に貢献できる人材の育成を目指しています。
キャンパスはマレーシアにおいて最古、且つトップ校である国立マラヤ大学構内の一角に設けられており、1学年の定員は40人。
今後本校から派遣される教職員も40人いるそう。
贅沢ですね!
9月の開校当日には、マレーシア人7人・日本人6人の計13人が1期生として入学し、教授陣は14人。
学士課程の4年間のうち1年目は文理幅広く学び、2年目以降はデータサイエンスや環境科学などの専門性を深めていくこととなります。
基本的に講義は英語・日本語の両方で行われ、日本語は必修科目となっているそうです。
気になる学費は、マレーシア人学生が年間35,000リンギット(約120 万円)、留学生が38,000リンギット(約125万円)と、筑波大本校やマレーシアにある国立大と比べても高めの学費設定です。
これはマレーシア政府からの支援はあるものの、同大がマレーシアでは私立大の扱いであることが関係しています。
これとは別に、学生には奨学金制度も用意されています。
2. 分校設立の背景
筑波大分校の開校に至っては、マレーシアの近代発展の歴史が深く関係しています。
ルック・イースト政策(Look East Policy)をご存知でしょうか?
マレーシアで1982年から当時第一政権期にあったマハティール首相が指揮を執った政策で、日本と韓国の経済的成功を模範として労働倫理や経営能力を学ぼうというものです。
これによって3万人弱のマレーシア人技術者・留学生が日本に派遣されて技術等を学び、日系企業のマレーシア進出や技術移転も進み、また日本から多くの投資を呼び込んだことによりマレーシアの今日の経済発展に大きく貢献したと言われています。
ルック・イースト政策には日本式教育も含まれ、2011年にはマレーシア工科大のマレーシア日本国際工科院(MJIIT)が設立されています。
日本式の工学教育で学んだ若き技術者たちは卒業後マレーシア企業に就職して、マレーシアの技術発展の素地を担ってきました。
こうした歴史がある中で、二度目の政権を担っていたマハティール氏が2018年、日本を訪れた際に故・安倍晋三首相(当時)との会談の中で筑波大学をマレーシアで、という話に繋がったのです。
UTMy開校に合わせてスピーチしたマハティール氏は、地元メディアにこう語っています。
「私は1961年の初訪日を通じて、第二次世界大戦後の復興に邁進する日本人の規律と献身的な姿に忘れがたい畏敬の念を抱きました。これらの価値観からいくつかを私たちも取り入れれば、日本人が成功したように、私たちも成功を収められるのではと感じました。ルック・イースト政策が導入された理由もそこにあります。そして約40年後となる今、何千人もの学生が、日本への留学の恩恵を受けています。UTMyの立ち上げはこれらの政策の結果であり、故・安倍氏と話し合ったことが結実したことでもあります」
このように、筑波大学マレーシア校の開設には日マ両国の長く深い蜜月が関わっているのです。
3. マレーシアに多くある、海外大学の分校
今回設立された筑波大学に限らず、マレーシアには多くの海外大学の分校が設立されています。
・モナシュ大学 マレーシア校 ーオーストラリア
・スウィンバーン大学マレーシア校 ーオーストラリア
・クイーンズランド大学マレーシア校 ーオーストラリア
・ノッティンガム大学 マレーシア校 ーイギリス
・サウサンプトン大学マレーシア校 ーイギリス
・レディング大学マレーシア校 ーイギリス
・厦門(アモイ)大学マレーシア校 ー中国
・テンプル大学マレーシア校 ーアメリカ
・サイモンフレーザー大学マレーシア校 ーカナダ
このリストにこの度、筑波大学も加わったというわけですね!
海外大学の分校がマレーシアに多い理由としては色々ありますが、大きいのは、1996年に制定された「私立高等教育機関法」により海外大学を含めた私立大学にとってマレーシア進出が比較的容易になったこと。
マレーシア政府も誘致を積極的に行っていること。
またオーストラリアやイギリス本校の学費に比べて約3分の1~半額程度で済んで経済的、かつ教育の質も担保されているという側面があります。
日本人の間でもマレーシア留学人気はじわじわと高まってきており、昔に比べると選択肢のひとつとして定着してきている印象です。
マレーシア現地にある日本人学生のコミュニティ「JSAM」には、2018年時点で300人の会員数が報告されており、非会員含めて全体でマレーシアには日本人正規留学生が500人ほどいるのではと言われていたので、現在は更に増えている可能性があります。
4. 最後に
今回は、筑波大学がマレーシアに開校したという驚きのニュースから、設立の背景やマレーシアの歴史などについてお届けしました。
高等教育の在り方も、昔に比べると随分多様化やボーダレス化が進んでいます。
日本の大学が海外に進出するという流れは、今後も出てくるかもしれませんね!
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