ポストコロナ時代における従業員の維持と中途採用のヒント
こんにちは。
リーラコーエンシンガポールマーケティング担当の野上です。
シンガポールではポストコロナ時代への幕開けとして様々な行動規制が解除され、出入国もコロナ禍以前のようにしやすくなってきました。
一方で、世界の情勢は引き続き様々な要素により不安定です。
特に昨今のドル高、ロシアによるウクライナ侵攻、中国のゼロコロナ施策がもたらす世界各国への輸出供給問題等が山積みであり、これらに少なからず影響を受ける企業様もいらっしゃるかと思います。
これまで弊社では、新卒採用に関するヒントについて、いくつかご提案してまいりました。
しかしながら、目下の売上確保や機会創出、またビジネス存続のための資金繰りが急務である今、新卒採用に興味はあるものの実際のオペレーションに手が回らないというお声も伺いました。
新卒の人材採用以外で目下の課題解決をするとなると、既存の従業員のエンゲージメントを高めること、また即戦力となりうる経験者人材の採用を行うことになります。
確かに、既存従業員の離職を防ぎつつ、経験者人材を採用することで、特にインハウスのオペレーションの整備をすることなく目下の課題解決がスムーズにできることも期待できるでしょう。
一方で、多くの企業様から寄せられるお悩みの一つに、欲しい経験者人材の枠が埋まらずにマンパワー不足になってしまうということがあります。
これは昨今の厳しい人材争奪戦が強いられる市場状況によるものですが、原因を詳しく検証すると、外資系企業との給与差により、優秀な人材が流出してしまい、その枠が埋まらないままになってしまうことが一つ。
また、仮に給与を上げて優秀な人材の採用が出来たとしても、福利厚生などの社内整備が追いつかず、従業員の満足度が上がらないまま離職されてしまうことが一つあります。
先日のメーデーの演説にてリー・シェンロン首相は、今後改めて企業は従業員に重きを置いた施策を中心に舵取りを行っていく必要性があると強調しました。
これはまさに、最近の求人率をはじめ、失業率や経費削減率などの数値から見るビジネス環境において、従業員および求職者が優位にある状況を鑑みた結果だと考えられます。
いかに既存の従業員を維持しながら結果を最大化するのか。
また、年々そのハードルは高くなってきてはいるものの、いかに即戦力となる中途採用を効率的に採用するのか。
今回は、このような課題に対してのアプローチについて、ご紹介したいと思います。
【目次】
1.給与の見直しを行う
2.従業員の満足度を上げ、繋ぎ止める福利厚生制度の見直し
3.予算面に課題がある場合
4.最後に
1.給与の見直しを行う
昨今、シンガポール経済状況はインフレを筆頭に激動しています。
3月度の消費者物価指数は前年同月比で5.4%、今後も上がっていくことが予測されています。
また、HDBを始めとする家賃の値上がりを始め、生活をする上で様々な水準が上がることにより、人々の金銭に対するマインドも変わってきています。
ADP社のレポートによると、シンガポールで働く10人中6人がこの先12ヶ月で昇給を要求する予定だと答え、10人中5人が昇給を期待しており、4人がボーナスを期待しているそうです。
一方で、昇進を期待している人は10人中3人と、昇給を要求する人よりも少ない結果でした。
この乖離の一因として考えられるのが、昨今のインフレの影響による実質賃金の上昇です。
また、今年マンパワーグループが出したレポートによると、シンガポールにおける企業の71%は3%以上の給与の値上げを検討していると答えたそうです。
ただし、実際のインフレ率よりも高い5%以上の値上げを検討している企業は19%にとどまり、状況にぴったりと合わせた予算を上げることのハードルは高いことが伺えます。
どれくらい上げるかはともかく、この結果それぞれからも推測できるとおり、給与額を上げる、または採用時の予算を実質賃金の上昇に合わせて上げることは、従業員の繋ぎ止めまたは新たな人員獲得に有効であると言えるでしょう。
一方で、すでに実質賃金の上昇を加味した予算組みを行っている企業様も多いかと思います。
それでは、給与面以外で重視すべきポイントは何でしょうか。
以下にご説明いたします。
2.従業員の満足度を上げ、繋ぎ止める福利厚生制度の見直し
給与面以外で重要なポイントは福利厚生制度の見直し及び整備です。
以前の記事でもお伝えしましたが、福利厚生制度は既存社員のエンゲージメント、及び経験者人材の確保においてとても重要な役割を担います。
中途採用を行う際に、自社の優位性を伝える場合、求職者が企業に何を求めているかについて、前職でのポイントを上回る必要がでてきます。
一般的なシンガポール人が企業に何を求めるかを調査したADP社によるレポートによると、給与が最も多く(71%)、雇用の安定性(54%)、就労時間の柔軟性(33%)そして業務の楽しさ、満足度(32%)と続きました。
一方で、回答者を企業における優秀な成績を収めている人に絞って行った Hausknecht, Rodda,Howard氏による調査論文によると、仕事における満足度が58%と最も高く、給与や福利厚生が39%、上司や同僚との良好な関係性が38%、組織コミットメントが21%と、仕事をする上での心理的な満足度に繋がる項目のポイントが高かったのです。
この結果から、継続的なキャリアアップが見込める業務内容と、そのアウトプットを最大化するための日々の生活を支える福利厚生で従業員をバックアップすることが理想的だということがわかります。
また、日系企業様にとっては、日本人駐在員の雇用についても引き続き検討をしていかなければならないかと思います。
一般的なボーナスや手当などの福利厚生に加え、異国での生活の補助を大前提に、その家族を含めた包括的なサポートが必要になってきます。
一般的な例は以下の通りです。
駐在員の福利厚生の一例(子どもあり)
・住居手当(職務レベルに応じた予算の確保)
・車または月額の交通費の支給(選択制、または業務内容に応じた選定)
・駐在員およびその家族全員の医療保険
・家族全員分の健康診断の負担
・子どもの学費の補助(3割~全額、全員分)
ローカルまたは現地採用と比べ、かかる費用が多いことは予算確保の上でも課題になるかと思います。
加えて、ビザ取得におけるハードルもどんどん上がっています。引き続き駐在員を配置する企業様にとっては、まずはこのような項目別に福利厚生の見直しを行うこともおすすめいたします。
最終的には、ローカル採用・駐在員採用にかかわらず、様々な境遇の従業員一人ひとりに沿った福利厚生制度を提供していくことが理想的です。
3.予算面に課題がある場合
上の2つのポイントでは主に給与や金銭的な福利厚生面をご紹介いたしました。
しかしながら、ビジネスのシフトが求められる厳しい状況の今、予算を上げることができないケースも多々あるでしょう。
それでは実際、このような場合はどうすれば良いのでしょうか。
「仕事における満足度」というのは一人ひとりの価値観や境遇により異なり、一概に答えを出すことができません。
その一方で、満足度を上げるための方法としていくつかの実績があることが様々な研究よりわかっています。
例えば、2010年のBenjaafar、Ramakirishnan氏の調査論文によると、働く女性に場所の選択肢を与えることで、ストレスは70%も下がるそうです。
また、似たような結果ですが、 Teti 、Mauri氏が実施した調査によると、職場におけるテレワークの導入はテレワークなしよりも73%も社員の満足度が高いことが分かっています。
特に子育て中の従業員の結果については85%と、働く場所を柔軟に選べる制度は、従業員の満足度を上げることができることが期待できるでしょう。
新型コロナウイルスの流行により、テレワークはニューノーマルになりつつあるかと思います。
シンガポールでは全従業員がオフィスへ戻って良いこととなりましたが、この機会にテレワーク制度を本格導入することもおすすめいたします。
その他の調査結果としては、従業員の私生活の充実に役立つジムの会員制度や交通費の支給は50%-63%の満足度を獲得、会社負担での健康診断、そして社員食堂の利用等は10%でした。
4.最後に
今回はこれまでの新卒採用のご提案とは違う角度から、既存の従業員のエンゲージメントと経験者人材の採用についてのヒントをお伝えいたしました。
それぞれ即実現可能というよりかは長期的な視野が必要なものではありますが、いずれの場合もいかに社内の整備をするかが肝要かと思います。
ご不明な点がございましたら弊社までお問い合わせくださいませ。
本記事が皆様のご参考になれば幸いです。
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